「省エネ」と「地域活性化」を同時に実現する街づくり。

※この記事は、2015年に作成しました。

環境問題に応えるスマートコミュニティへの期待

東日本大震災後の電力不足や電力料金の値上げを背景に、節電や省エネへの意識は一般家庭にまで普及しています。また、電力需給バランスの安定化という観点から、自立分散型のエネルギー社会の実現を目指す動きが進んでいます。こうしたなか全国各地で、自治体を主体としたスマートコミュニティへの取り組みが活発化しています。スマートコミュニティとは、電力をはじめとした社会インフラをICTで一元管理・最適制御し、地域社会全体をスマート化すること。エネルギー供給の安定化はもちろん、省エネによる環境保全、快適性の向上など、さまざまな側面から持続可能な街づくりへの貢献が期待されています。

省エネと地域活性化につながるスマートコミュニティ事業を推進

大阪都心からほど近いJR塚口駅前に開発する、関西最大級の再開発プロジェクト「ZUTTOCITY(ズットシティ)」。(JR西日本不動産開発・長谷工コーポレーションとの共同事業)野村不動産はこのプロジェクトを軸に、尼崎市や複数企業との連携の下、省エネや地域活性につながるスマートコミュニティ事業を推進しています。その最大の特徴は、尼崎市全域に導入される地域通貨ポイントを活用し、需要者側で電気使用を抑制する「デマンドレスポンス」と、地域経済の活性化を同時に実現すること。こうした独自の発想が評価され、2015年6月に「尼崎版スマートコミュニティ」の認定を受け、2016年度からの3年間にわたり、尼崎市の補助の下に実施する計画です。

地域通貨ポイントを活用した持続可能な省エネ・地域活性化の仕組み

ZUTTOCITY全体のエネルギーを“見える化”

ZUTTOCITYでは、マンションや戸建住宅の各戸にスマートメーターを設置するなど、「住むだけでエコ」な仕組みを取り入れます。さらにEMS(エネルギーマネジメントシステム)の導入により、街全体のエネルギー需給状況を街区に設置したデジタルサイネージ(電子看板)でリアルタイムに表示することで、住民一人ひとりの省エネに対する意識を高め、電力需要ピーク時のデマンドレスポンス要請などに役立てます。

省エネ活動に応じて地域通貨ポイントを付与

真夏や真冬などの電力需要ピーク時には、各戸での冷暖房使用を控え、エネルギー効率の高い大型施設を積極的に利用することが街全体の省エネにつながります。そこで、ZUTTOCITYでは、地域通貨ポイント「ZUTTO・ECO まいポ(まいぷれポイント)※」を活用し、電力需要ピーク時に地元商店街や駅ビルで買い物した際には通常時の2倍のポイントを付与することで、デマンドレスポンスを進めます。同時に、地域の商業施設での購買を促進させ、地域経済の活性化にも寄与します。

※ (株)まいぷれwithYOUが運営する地域通貨ポイント。地域店舗の買い物100円につき1ポイントが発行され、1ポイント=1円として地域通貨加盟店で使用できる。

ステークホルダーのコメント

地域活性化に寄与するツールとして、
地域通貨ポイントのフィールドを広げていきたい。

まいぷれグループは、地域通貨ポイント「まいぷれポイント(まいポ)」の事業運営会社として、これまで山陰、船橋市、宮崎市の3エリアで事業を運営してきました。官民協働による地域通貨ポイントの運用は、地域経済活性化の強力なツールになると考えており、今後はボランティア、福祉、健康、駐輪対策など様々な行政施策との連携や、現在、全国で実施されている「プレミアム商品券」との連動も視野に入れ、活力ある地域づくりに寄与していきたいと考えています。
本プロジェクトでは、当社はスマートコミュニティ推進事業の運営事務局として、デマンドレスポンスの実施やデータ集計・報告なども担っておりますが、運用においては、まいポ加盟店の拡大が最重要と考えています。地域密着のネットワークとフットワークを活かして、各事業者と共にプロジェクトの普及・拡大に努めていきます。

株式会社まいぷれwithYOU
代表取締役
加藤 淳様

スマートコミュニティを推進するZUTTOCITYの
大きな可能性に期待しています。

尼崎市は早くから低炭素まちづくりに取り組み、2013年3月には国から「環境モデル都市」に選定されました。ZUTTOCITYを軸としたスマートコミュニティ推進事業は、本市が目指す「環境と産業の共生(尼崎版グリーンニューディール)」の実現に資する素晴らしい提案だと評価しています。
節電や省エネは「我慢するもの」というイメージもありますが、本プロジェクトは地域通貨の利用など、市民が楽しみながら無理なく続けられる仕組みとなっており、市民一人ひとりが主体的に節電に取り組むきっかけづくりや、省エネ意識の定着につながるものとして広く普及することを期待しています。また、今回のような事業者と行政、地元商店や市民が一体となった取り組みは、地域社会づくりの視点からも重要だと考えております。
尼崎市は、「環境」を住宅開発における重要な付加価値要素と捉える野村不動産グループによって構築されたこの持続可能な枠組を、スマートコミュニティの先進モデルとして、より魅力的な街づくりにつなげていければと考えています。

尼崎市役所
経済環境局
環境部 環境創造課
課長
吉岡 辰郎様