人権
ガバナンス
方針
戦略
背景・ねらい
- 事業を通じた人権問題への取り組みは社内外の関心・期待が高まっている
- 特に人や街・コミュニティを未来へつなげていく企業グループとして、あらゆる人がウェルネスを実感できる持続可能な社会を実現する責任がある
- 従って、あらゆる人の尊厳と基本的人権を尊重して行動することが、当社グループの事業活動における不可欠の前提である
ビジネスモデルやバリューチェーンへの影響
当社グループでは人権方針策定時に、バリューチェーン全体の人権リスクについて調査しました。
「潜在的な人権への影響の深刻度(規模・範囲・是正困難度の3要素で構成)」「人権への影響が生じる可能性(国別状況・業界状況の2要素で構成)」の2軸で行った調査により、海外事業および外国籍労働者の雇用の場面でリスクを認識しています。
抽出された要素については、人権デュー・デリジェンスを行い、必要に応じて是正を行っています。
| リスク | 機会 |
|---|---|
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リスク管理
指標と目標
目標・KPIと実績データ
| 項目 | 2030年目標 | 単位 | 2025年3月期実績 |
|---|---|---|---|
| KPI人権デューデリジェンスの体制構築 | 年度毎に目標設定 | ー |
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| KPI人権関連研修参加率 | 100 | % |
100※1 |
-
※1グループ合同で実施したオンライン研修「人権・ウェルネス・D&I 研修」の参加率
2030年までの重点課題(マテリアリティ)に関する計測指標(KPI)
その他実績データ
| 項目 | 単位 | 2022年3月期 実績 |
2023年3月期 実績 |
2024年3月期 実績 |
2025年3月期 実績 |
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|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 人権関連研修(グループ合同) | 新入社員 | 参加率 | % | 100 | 100 | 100 | 100 |
| 参加者数 | 人 | 280 | 263 | 304 | 348 | ||
| 新任マネジメント(基幹)職 | 参加率 | % | 100 | 100 | 100 | 100 | |
| 参加者数 | 人 | 149 | 168 | 217 | 220 | ||
| キャリア入社 | 参加率 | % | 100 | 100 | 100 | 100 | |
| 参加者数 | 人 | 195 | 262 | 269 | 326 | ||
取り組み
人権課題に関するコミュニケーションと対応
当社グループは、社内外でさまざまな形で人権をテーマとしたステークホルダーエンゲージメントを実施しています。
建設・不動産『人権デュー・ディリジェンス推進協議会』への参加
当社グループは、サプライヤーであるゼネコン3社および不動産ディベロッパー6社(当社含む)の計9社による建設・不動産『人権デュー・ディリジェンス推進協議会』に参加しています。
当会は、「ビジネスと人権に関する指導原則」が企業に求める「他者の人権を侵害することを回避し、関与する人権への負の影響を防止・軽減・是正する措置を講じる」責任を果たすために発足されました。
業界全体で、強制労働をはじめとする人権侵害の予防に努めていきます。
人権課題に関する意見交換
当社グループは、建設・不動産会社が主体的に実施している建設・不動産『人権デュー・ディリジェンス推進協議会』にて、外国人技能実習生の受け入れや、事業活動に関わる人権課題に関して、人権への負の影響を防止するために、NGOや弁護士など社外とのエンゲージメントを実施しています。エンゲージメントでは、当社も事業を行っておりますアジア太平洋地域における強制労働や労働環境などの問題について指摘を受けました。
エンゲージメントの結果を踏まえ、今後の活動や計画に反映することで、国際規範に基づいた適切な事業活動を推進していきます。
外国人技能実習生の受け入れとコミュニケーション
当社グループは、インドネシア、ベトナム、フィリピン、ミャンマーから外国人技能実習生を受け入れています。実習生たちが安心して仕事に取り組めるよう、労働環境の整備、安全基準の徹底に加え、適切な生活環境の提供などに配慮し、受け入れを行っています。受け入れた技能実習生に対しては、上長との定期的な面談の機会(ラインケア)に加え、人材開発課スタッフや特定技能(当社技能実習生を満了した者)による実習生寮巡回・生活支援・メンタルケアなどのサポート体制を設け(スタッフケア)、実習生個々の意見・要望・相談・悩み事の吸い上げを行っています。また、日本語勉強会(週1)・日本文化体験(毎月)・交流会(年1)を行っています。
また、当社グループでは、インクルーシブデザインのワークショップの取り組みにおいて、外国人技能実習生に参画してもらい、一緒になって作業する体験を通じて、BLUE FRONT SHIBAURAで誰もが働きやすい職場環境を実現するために必要な視点や、どのようなアクションをすべきか参加者全員で考えました。
今後は、受け入れのさらなる拡大を検討しており、技能実習生の人権に一層配慮した対応とコミュニケーションが不可欠と認識しています。

人権デュー・デリジェンスによる課題特定
人権に関するこれまでの取り組み
| 時期 | 主な取り組み内容 |
|---|---|
| 2021年3月期 |
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| 2022年3月期 |
4つの優先課題の特定
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| 2023年3月期 |
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| 2024年3月期 |
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| 2025年3月期 |
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4つの優先課題
当社グループの事業活動および取引関係により当社の事業、商品、サービスに直接関係する人権への負の影響を特定し、それらを防止および軽減させることを目的に、当社グループは国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づく、人権デュー・デリジェンスのプロセスの構築に取り組んでいます。
外部専門家の協力のもと、2022年3月期までに人権デュー・デリジェンスにおいて優先的に取り組む課題の設定が完了し、3年間の取り組みロードマップ(以下、「3ヵ年ロードマップ」)を策定しました。具体的には「4つの優先課題」として①従業員のウェルネスと人権②海外事業・外国人労働者③サプライチェーン上の人権④救済措置を選定し、所管担当を定め、2023年3月期以降はロードマップに基づき本格的な人権デュー・デリジェンスおよびPDCAの展開を行っています。

3ヵ年ロードマップの更新
2025年3月期は3ヵ年ロードマップの最終年度にあたり、これまでの取り組みの進捗整理に加え、外部環境や社会情勢の変化の分析ならびに海外拠点での実地調査を通じて課題を抽出し、リスクマップおよび顕著な人権課題を更新しました。
人権課題を『4つの優先課題』として分類してきましたが、上記更新に際しては、各施策がどのライツホルダーの人権課題解決に資するものであるかを明確にすることを目的に、国内外のライツホルダーごとに課題を再分類しました。
特定された人権課題については、社内外のステークホルダーとの意見交換を通じて、優先的に取り組むべき課題と現場の実態と整合性を確認し、新たな3ヵ年ロードマップに反映し、2026年3月期より運用を開始しました。
また、今後は、人権課題と気候変動やAIとの関連性にも着目し取り組みを進めていきます。
優先課題と現場実態の整合性を確認するため、以下のステークホルダーとの意見交換を実施しました。
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➀社内ステークホルダーとして、野村不動産従業員組合と意見交換を行い、自社従業員に関する課題認識に齟齬がないことを確認しました。
-
➁社外ステークホルダーとして、NPO法人東京労働安全衛生センターおよび弁護士/認定NPO法人ヒューマンライツ・ナウの佐藤 暁子氏との意見交換を実施。当社の課題認識と現場実態に齟齬がないことを確認するとともに、海外事業における人権リスク対応を含む、今後当社に求められる対応強化の方向性について示唆を得ました。
人権デュー・デリジェンスの対象
| 対象事業 | 不動産開発事業、不動産運営事業(特に、ホテル事業における運営)、海外事業(特にベトナム、タイ、フィリピン) |
|---|---|
| 対象者 |
当社グループ従業員(特に外国籍従業員) サプライヤーの従業員(特に外国人技能実習生) 顧客、近隣住民 |
| 人権リスク指標 |
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従業員のウェルネスと人権
海外事業・外国人労働者
自社グループの人権リスクの防止
当社グループでは、人権リスクに対する是正措置として、外国籍従業員採用時における人権チェックシートの運用や、国際法と現地法が矛盾する場合、国際法を優先する旨を契約書に反映するなどの取り組みを行っています。
人権に対する負の影響をより明確に把握するために、「4つの優先課題」の1つである「海外事業・外国人労働者」のテーマにおいて、2025年3月期は以下2つの人権リスクアセスメントを実施しています。
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➀海外事業における国別リスク把握を目的として、ベトナムを訪問し、現地法人およびパートナー企業との面談・対話を通じた人権デュー・デリジェンス
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➁海外プロジェクト評価基準に基づく人権デュー・デリジェンスの一環としてベトナムにおけるデスクトップ調査
上記➀および②のアセスメントにおいては、においては、2024年時点で重大な人権リスクは確認されませんでした。今後は、国別リスクの把握を一層深め、対象国の範囲拡大を図るため、当社グループが事業を展開する各国において直接訪問による実地調査を実施し、海外における人権デュー・デリジェンスの高度化および精度向上に継続的に取り組んでいきます。
サプライチェーン上の人権
調達における人権リスクのアセスメント
当社グループは、サプライチェーンにおける人権課題に対応する為、4,600社以上の取引先に「調達ガイドライン」を配布し、各社に対して人権の尊重を要請しています。
2022年3月期に行った調達ガイドラインのアンケートについて、2023年3月期から2025年3月期は外国人技能実習生に関する項目を追加し主要サプライヤー約300社に送付しました。2025年3月期においては157社(主要サプライヤーに占める割合:67%)から回答がありました。今後回答結果を分析した上で、12社を対象に、取り組み状況の確認を行い、社内体制の整備・人権リスク低減施策の推進を促すモニタリング面談および人権啓発を目的とした勉強会を実施していきます。
また、2025年3月期には、サプライヤー約150社を対象に人権デュー・デリジェンスの重要性および調達ガイドラインに関する勉強会を実施し、理解促進と意識向上を図りました。
今後は対象を拡大しつつ、人権デュー・デリジェンス体制の拡充を図り、サプライチェーンにおける人権課題に取り組んでいきます。
救済措置
苦情処理メカニズムの整備
当社グループは、雇用形態に関わらず、すべての従業員が利用できる人権問題の複数の相談窓口にくわえ、お取引先様から当社グループの従業員による人権侵害など倫理規程に抵触する恐れのある行為について通報いただく窓口を設置しています。
これらの相談窓口に通報・相談が寄せられた際には、匿名で通報を受け付けるとともに、秘密を厳守します。また、調査の結果、明らかに人権の尊重に対する違反行為がある事案に関しては、加害者に対し、しかるべき措置をとるとともに、被害者や、通報者が通報を理由に不利な取り扱いを受けないよう、保護しています。
このように、複数の相談窓口を設けることにより、相談しやすい環境を整え、問題の早期発見と解決、再発防止策に取り組んでいます。
相談窓口では、半期ごとにリスクマネジメント委員会、法令違反・不正に関するものはリスクマネジメント委員会に加えて監査等委員会に報告を行い、経営層が相談窓口の運用状況のモニタリングを行っています。
なお、2025年3月期の差別やハラスメントに関わるものとしてグループ窓口への相談件数は109件で、事実について調査を行い、適宜対応を行いました。
今後、相談窓口の実効性を向上させるために、体制面の強化等を図っていく予定です。
人権に関する相談窓口
| 窓口 | 対象者 | 概要 | |
|---|---|---|---|
| 人権・ハラスメント相談窓口 | 社内・ 社外 |
グループ役職員 | 人権・ハラスメントに関する相談受付窓口 |
| 野村不動産グループ・ヘルプライン | 社内 (国内) |
グループ役職員(相談等の日から1年以内にグループ各社に所属していた者) | 業務上の法令・社規社則・運用ルール等に関する違反行為、不正行為等に関する相談または通報受付窓口 |
| 野村不動産グループ・グローバルヘルプライン | 社内 (海外) |
グループ海外現地法人に直接採用された役職員 | 業務上の法令・社規社則・運用ルール等に関する違反行為、不正行為等に関する相談または通報受付窓口 |
| 野村不動産グループ人権相談窓口 | 社内 (国内) |
ステークホルダーの皆様 | 当社事業に関わるステークホルダーの皆様に向けた人権に関する相談窓口 |
グループ役職員への人権研修
階層別研修
当社グループは、人権の尊重に対する理解を深めるために、階層別研修などの機会を利用し、人権に関する教育を行っています。2025年3月期に実施した、グループ社員を対象とした人権関連研修の参加率は100%でした。
また、「野村不動産グループ倫理規程ハンドブック」を従業員に配布し知識の周知を図るとともに、差別やハラスメントに関する研修を全従業員に対して実施しています。さらに、定期的に発行するグループ社内報では、LGBTQ+※の方への理解と配慮を求める項目も記載しています。
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※LGBTQ+:レズビアン(Lesbian)、ゲイ(Gay)、バイセクシュアル(Bisexual)、トランスジェンダー(Transgender)、クエスチョニング(Questioning)、これらに当てはまらない「+」の頭文字をとったセクシュアルマイノリティの総称