ガバナンス
リスク管理
ウェルネス経営に関する方針
全体方針のほか、野村不動産グループ行動指針である「私たちが大切にすること」に、「活き活きと働くウェルネスの実現」を掲げ、従業員が心身ともに健康で、活き活きと仕事に取り組むことができるよう「ウェルネス経営」を推進しており、従業員の公正な評価、生活賃金の保証を含めた報酬、公平な福利厚生を目指し、結社の自由や団体交渉権などの基本的な権利を尊重しています。また、「野村不動産グループ倫理規程」に「健全で働きやすい職場環境の維持、向上を図る」と定め、安全・衛生管理を徹底し、過重・長時間労働や労働災害を防止するなど、従業員の心身の健康と安全を確保するための職場環境の整備と、意識啓発のためのコミュニケーションに努めています。
なお、2019年5月には国連グローバル・コンパクトに署名しており、同原則における労働に関する4原則に基づき、さらなる取り組みを進めていきます。
実現に向けた重要テーマ
・社員の成長と働きがいのある企業グループへの成長
・社員一人ひとりの多様な能力を引き出すマネジメント人材・リーダー人材の育成
・社員一人ひとりが自発的にそれぞれの可能性を伸ばすリスキリングの導入
労働に関するリスク管理と法令遵守
当社グループは、各国の労働に関する法令を遵守するとともに、管理を徹底し、必要に応じて改善する体制を整えています。特に超過勤務時間の削減に努めており、グループ各社の36協定(時間外労働)についての実態把握と遵守状況を調査した上で、野村不動産ホールディングス取締役会にて、報告・確認を毎月行っています。遵守について懸念のある会社や案件に関しては、対応を検討し、改善を図っています。野村不動産においては、取締役会にて、毎月、部門別の労働時間や休日休暇取得状況について調査・報告し、課題の共有と改善に向けて取り組んでいます。
なお、現在、労働安全衛生に関するマネジメント規格であるISO45001を受けている事業所はありません。
野村不動産グループのウェルネス経営への取り組み
当社グループは、職員の心身の健康を何よりも大切にし、すべての役職員が、心身ともに健康で、活き活きと仕事に取り組むことが企業の持続的な成長につながる「ウェルネス経営」を目指します。野村不動産グループでは、国内グループ15社において、アンケートを実施し、社員のパフォーマンス発揮状況(アブセンティーズム、プレゼンティーズム、ワークエンゲージメント他)やヘルスリテラシー、生活習慣リスク等を調査しています。
2021年度は2回実施し、2022年度以降は年1回の実施を継続しています。数値の結果を人材・ウェルネス・D&I委員会にてモニタリングし、グループでのウェルネス経営施策につなげていくことで、活き活きと働くウェルネスの実現のため、ウェルネス経営を推進しています。
指標と目標
実績データ
項目 | 単位 | 2020年度 実績 |
2021年度 実績 |
2022年度 実績 |
2023年度 実績 |
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従業員1人当たりの法定時間外労働 | 時間/月 | 9.99 | 13.81 | 11.03 | 8.67 | |
有給取得率 | % | 56.13 | 62.34 | 69.36 | 69.86 | |
人間ドック・健康診断の受診率※1 | % | 100 | 100 | 100 | 100 | |
欠勤率 | % | 0.41 | 0.45 | 0.36 | 0.43 | |
職場へのエンゲージメント(5点満点)※2 | 点 | 3.96 | 3.97 | 3.87 | 3.91 | |
(グループ)意識調査回答率※3 | % | 97.8 | 93.0 | 92.4 | 94.4 | |
従業員の労働災害 死亡事故件数 | 件 | 0 | 0 | 0 | 0 | |
請負業者における労働災害 死亡事故件数 | 件 | 2 | 0 | 1 | 2 | |
LTIFR※4 | ー | 3.43 | 0.56 | 1.00 | 3.14 | |
LTIR※5 | ー | 1.34 | 0.32 | 1.00 | 0.93 | |
平均勤続年数※6 | 男性 | 年 | 11.53 (13.90) |
11.71 (13.40) |
12.11 (13.81) |
12.12 (13.04) |
女性 | 年 | 7.90 (8.56) |
8.17 (8.35) |
8.24 (8.43) |
8.72 (9.43) |
|
合計 | 年 | 10.42 (11.88) |
10.56 (11.49) |
10.87 (11.75) |
10.98 (11.68) |
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離職率※7 | 男性 | % | 4.84 | 6.01 | 5.42 | 4.82 |
女性 | % | 4.79 | 5.63 | 5.98 | 5.3 | |
合計 | % | 4.78 | 5.81 | 5.60 | 4.98 | |
うち、自己都合 | % | 3.88 | 4.45 | 4.70 | 4.33 | |
ストレスチェック回答率※8 | % | 88.8※9 | 88.8※9 | 94.5 | 97.1 |
野村不動産単体実績(請負業者を含まない)
2021年度までは、野村不動産単体で実施した満足度調査の「職場への満足度」の数値を掲載しており、2022年度より野村不動産グループ(国内のみ)の意識調査の「職場へのエンゲージメント」の数値となります。
2021年度までは、野村不動産単体での満足度調査の回答率となり、2022年度より野村不動産グループ(国内のみ)の意識調査の回答率となります。(対象が約2,000名から約7,000名に拡大)
(休業を伴う労災件数/総労働時間)×1,000,000
(死亡および休業災害人数/総労働時間数)×1,000,000(請負業者を含まない)
カッコ内は野村不動産単体実績。なお、2023年度より計算方法を変更しております。
離職率には定年退職者を含みます。
野村不動産単体実績
精度向上のため、過年度データを遡及して修正しました。
取り組み
経営層による健康と安全の改善への取り組み
当社グループは、野村不動産ホールディングスの代表取締役社長および代表取締役副社長と従業員が直接対話する機会を定期的に設け、職場風土や労務に関する現場の課題を共有し、職場環境の改善を図っています。2023年度は、延べ40回実施し、労働時間短縮や生産性向上、従業員のワークライフバランスの実現について、対話を行いました。本ミーティングにて出された提案や意見については、内容を検討し、人事制度を改善するなど、従業員の健康と安全を担保するための取り組みとして推進しています。
過重労働の防止
当社グループは、従業員の過重労働を防止するためのさまざまな取り組みを実施しています。
【主な施策】
・業務棚卸による業務削減、外部委託
・AIやRPAの活用
・モバイルPCの導入促進
・テレワーク/時差勤務・フレックスタイム制勤務の促進
・サテライトオフィス利用促進
・PC利用時間制限
・長時間労働へのアラート発信
・グループ本社移転に伴う新しい働き方トライアルを実施中
・働き方ガイドブックの策定
・サテライトオフィス(H¹T)の活用
これらの取り組みは、過重労働防止の観点で重要な施策となっています。また、「1カ月当たりの労働時間が一定時間を超過した従業員」に対しては、「疲労蓄積自己診断チェックリスト」による体調確認を行い、部室店長へのフィードバックを実施するとともに、本人には産業医との面談などの健康確保措置を実施しています。
労働安全リスクへの対策
当社グループの分譲マンション事業においては、労働災害ゼロに向け建設現場を中心に安全確保に向けた取り組みを実施しています。工事着手時に施工会社の安全対策計画を確認し、建設中は当社建築担当者による毎月1度程度以上の現場巡回にて、施工会社が適正に計画通りの事故防止対策を実施しているかを確認し、問題点があると考えられる場合は施工現場に改善を要求し、他の施工中現場にも注意喚起を行います。事故防止対策や注意点は、「建設工事 安全・防犯対策指針」にまとめて施工会社に配付し、工事を進める上での安全対策計画に反映してもらっています。労働災害死亡事故は、請負業者2件でした。
健康管理の充実
当社グループは、従業員の健康リスクの早期発見に努め、従業員の健康保持や安全な業務遂行を支援するため、さまざまな取り組みを行っています。
健康診断体制のさらなる拡充
人間ドックや健康診断の100%受診を徹底します。再検査の判定があった従業員には再受診の勧奨と受診確認を行っています。なお、野村不動産の2023年度の人間ドック・健康診断の受診率は100%でした。次年度以降も引き続き受診率100%を目指し、従業員の健康確保に努めます。
ストレスチェックの実施
当社グループは、ストレスチェックテストを通じて、従業員のメンタルヘルス状況を定期的にモニタリングするとともに、メンタルヘルス関連の研修を通して、ストレスの改善に向けた取り組みにつなげています。
項目 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
---|---|---|---|---|
ストレスチェック 回答率(%)※ |
88.7 | 87.5 | 94.5 | 97.1 |
主な研修項目 (Eラーニング含む) |
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野村不動産単体実績
ハラスメント・健康相談体制の強化
社外専門家に相談できる「心と体の相談窓口」および「人権・ハラスメント相談窓口」の設置や、グループ内に医師や看護師が常勤する「健康相談室」を設置し、いつでも相談できる体制を整えています。相談は従業員だけでなく、ご家族も利用可能となっています。
「心と体の相談窓口」
職場や家庭、女性特有の健康問題、LGBTなどに関する相談を社外専門カウンセラーに電話またはメールで相談できます。
「人権・ハラスメント相談窓口」
社内のハラスメントに関する相談を社外専門カウンセラーに電話で相談できます。匿名での相談も可能です。
福利厚生の提供
野村不動産グループでは、「野村不動産グループ ダイバーシティ&インクルージョン推進方針」において「従業員一人ひとりの違いに着目した、実質的な機会均等を実現」と宣言しており、育児・介護事由をはじめとした、多様な社員がワークとライフの両立ができる職場環境づくりのため、さまざまな福利厚生制度を設け、充実化に努めています。
野村不動産で提供する主な福利厚生
福利厚生 | 概要 |
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積立有給休暇 | 付与後2年で消滅する年次有給休暇を最大90日まで積み立てることができる制度。病気の療養、介護・看護、育児、社会貢献活動等の事由に対して、積み立てた休暇を利用でき、年次有給休暇とあわせ計画的な休暇取得を可能 |
エフ休暇 | 女性特有の体調不良の際に、月1回取得できる特別休暇。取得事由を生理日に制限せず、不妊治療や更年期による体調不良まで拡充。休暇名称を「エフ休暇」とし、取得事由を拡充することで取得のしづらさへも配慮。 (「エフ」は Female の頭文字) |
バース休暇 | 子の出産直前から産後一定の期間に取得できる5日間の特別休暇 (年次有給休暇とは別途付与) |
産前・産後休暇 | 産前6週(多胎14週)産後8週(有給) |
出生時育児休暇 | 「産後パパ育休」により可能となった出産後8週間の間の4週間における育休取得に対して、最大28日間を有給化(休業前賃金の手取り額の100%を保障。通常の給与としての支給のため、育休取得による経済的な不安を緩和) |
育児休業 | 子が満3歳に達するまで |
子の看護休暇 | 未就学児:1名5日/年、2名以上10日/年 |
介護休業 | 通算1年まで |
ボランティア休暇 | 激甚災害のボランティア活動に対して5日 |
メンタルヘルス支援 | 健康相談室、心と体健康相談室、心療内科の産業医の設置 |
健康確保措置 | 看護師・産業医の設置、人事面談、健康診断の実施 |
高齢者再雇用 | 65歳まで(1年更新) |
退職金制度 | 会社が掛金を拠出、又は負担する退職金制度として「退職一時金・確定給付企業年金制度」と「企業型確定拠出年金制度(従業員による掛金上乗せ可能)」があります(職制により適用制度は異なる) |
健康保険組合 | 高額療養費、出産育児一時金、傷病手当金、人間ドックなど |
諸手当 | 家族手当、赴任手当、単身赴任手当、住宅補給金など |
グループ8社にて、「出生時育児休業(産後パパ育休)」を 100%有給化~誰もが働きやすい職場づくりに向けた制度を複数新設~
健康と安全に関する情報共有と研修
当社グループは、グループ各社の人事担当が月に1回実施する「野村不動産グループ人事部会」にて、労働基準法などの関連法令情報や各社の労務状況、労務管理・安全衛生の重要性について共有しています。また、新任管理職の研修などにおいて、労働基準法等関連法令の説明や労務管理の方法など安全衛生に関する研修を実施しています。
健康経営に関する外部からの評価
健康経営優良法人(大規模法人部門)
野村不動産ホールディングスは、経済産業省と東京証券取引所が共同で実施する「健康経営銘柄」に初選定されました。「健康経営銘柄」は、上場企業の中から、従業員の健康管理を経営的な視点で考え戦略的に取り組んでいる企業を評価し、選定するものです。
また、当社グループ9社(野村不動産ホールディングス、野村不動産、野村不動産投資顧問、野村不動産ソリューションズ、野村不動産ライフ&スポーツ、野村不動産パートナーズ、プライムクロス、野村不動産コマース、野村不動産ホテルズ)は、経済産業省と日本健康会議が共同で選定する「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)」に認定されました。当認定制度は、地域の健康課題に即した取り組みや日本健康会議が進める健康増進の取り組みを基に、特に優良な健康経営を実践している法人を顕彰する制度です。
さらに、野村不動産ホールディングス、野村不動産、野村不動産投資顧問、野村不動産ソリューションズ、野村不動産ライフ&スポーツは、大規模法人部門の「健康経営優良法人」上位 500社である「ホワイト500」にも認定されました。



「◎あなたの声があしたをつなぐ!」 野村不動産グループ サステナビリティ、ウェルネス・D&I意識調査を実施
野村不動産グループ職員が普段捉えている会社や職場の良い点や課題点を経営と共有し、よりよい職場づくりに活かすことを目的とし、2022年8月からグループ合同でウェルネス・D&I意識調査(「◎あなたの声があしたをつなぐ!」)を実施しています。グループ全体での従業員満足度・自発的貢献意欲の指標の見える化を実施し、グループ共通課題に対する施策の検討等のグループシナジーをより一層促進していきます。本調査を受け、経営層との直接対話の機会として、ウェルネス推進ミーティングを開催しております。
公正な労働環境づくり
労使による対話
当社グループは、結社の自由や団体交渉権を尊重するとともに、労働組合が結成されていないグループ会社においても、労働者代表と人事部担当役員による協議を定期的に実施し、労働環境を改善しています。2024年4月1日現在、野村不動産、野村不動産パートナーズ、一部海外現地法人が労働組合を設置しており、当社グループ従業員の組合員比率は28.71%です。
適正な賃金
賃金は、各国の最低賃金を定めた法令を遵守するのはもちろん、その国・地域の物価指数に沿って、一定の生活水準を維持できる生活賃金の支払いを行っています。2023年度の野村不動産ホールディングスの平均年収は1,091万円です。
労働基準に関する方針の理解・浸透
当社グループは、労働基準に関する会社の方針を全従業員に正しく理解してもらうため、海外グループ会社を含む従業員に対して、入社時に就業規則や人事考課制度、福利厚生に関して、日本語もしくは必要に応じて英語で配布・説明しています。
人材の地域採用・活躍推進
当社グループは、事業の特性上、全国の地域とのつながりに重点を置くとともに、地域での採用活動を行っています。また、従業員のライフワークに基づき、多様な働き方を選択できるよう、一部のグループ会社では、全国転勤か地域勤務かを選択できる職務制度を設けています。ほか、野村不動産では、結婚・出産・育児・介護・配偶者の転勤などのやむを得ない事情などにより退職された方に対して、再入社採用制度を設けております。
事故などへの対応
野村不動産は、2017年に本社および地方4事業場(関西支社、名古屋支店、仙台支店、福岡支店)を管轄する労働基準監督署から、一部職員に適用している企画業務型裁量労働制に関する是正勧告・指導を受けました。この問題を重く受け止め、このような事態を二度と起こさぬよう、労務管理の徹底および職場環境の改善に取り組みます。野村不動産では、適切な労務管理と職場環境の改善に向けた以下の取り組みを行っています。
1. 法令順守を徹底します
2. 経営トップ及び役員が、職員と課題を共有し、信頼関係の構築と職場環境の改善に努めます
3. 以下の健康確保施策を実践します
(1) 役職員の健康問題への意識向上
(2) 役員及び管理監督者による職員の健康状況の把握の徹底
(3) 健康相談体制・健康診断体制のさらなる拡充
グループ各社においても状況を確認した上で、今後も引き続き改善に向けた取り組みを推進していきます。
詳しくは、下記をご覧ください。
適切な労務管理と職場環境の改善に向けた取り組みについて
サステナビリティ
- 環境(気候変動と自然環境)
- 社会(社会と社員)
- ガバナンス
- ESGデータ集