ガバナンス
戦略
背景・ねらい
・街・コミュニティを未来へつなげていく企業グループとして、多様な人々の各々の価値観・ライフスタイル実現を目指す
・そのために、まず当社グループ自身が多様な個性や存在を互いに認め合う、包摂性を備えた組織である必要がある
・多様な人材が能力を最大限発揮し、社会の多様なニーズに応える商品
・サービスを生み出すことで、長期的な企業成長に向けた価値創出を実現する
ビジネスモデルやバリューチェーンへの影響
当社グループでは、サステナビリティポリシーにおいて掲げた、「人と人がお互いを支えつながり合う、誰ひとり取り残さない社会」、「背景や価値観の異なる人々が個性を活かし合う創造的な社会」を実現するために、ダイバーシティ&インクルージョンをマテリアリティとして選定し、推進方針を策定しております。同方針のなかでは「多種多様な組織・人びとと共に手をとりあって挑戦し続けることで、新たな価値を創造していきます」と記載しており、今後、様々なステークホルダーと共に、ビジネスモデルの中で新たな価値を創造してまいります。
リスク | 機会 |
---|---|
・多様な人が存在しているだけでは、それぞれの人が持つ価値観、意識や行動の背景が分かり合えず、業務やプロジェクトが円滑に進まず、個々の特性が充分に発揮できない状態になる可能性がある ・組織の多様性が低く、様々な意見が取り入れられない場合、都合の良い情報しか入らない等の情報遮断により、重要な意思決定において、判断を間違える可能性がある |
<社内への効果> ・職場愛の醸成 ・離職率の低下 ・リスク管理 <社外への効果> ・人材獲得競争力の向上 ・投資家からの評価向上 <イノベーションの創出> ・多様な視点からの新価値創造 |
リスク管理
ビジョン達成に向けた重要テーマ
・誰もが活き活きと働くウェルネスの推進
・『グループ理解・連携の促進』 ~他部門・他部署を知り、まだ見ぬ価値を考える土壌醸成~
・『新たな発見や気づきを得る機会を創る』 ~知の多様性向上~
ダイバーシティ&インクルージョン推進方針
野村不動産グループでは、サステナビリティポリシーにおいて掲げた、「人と人がお互いを支えつながり合う、誰ひとり取り残さない社会」、「背景や価値観の異なる人々が個性を活かし合う創造的な社会」を実現するために、ダイバーシティ&インクルージョン推進における考え方を明確にするため、ダイバーシティ&インクルージョン推進方針を策定しています。
ロードマップ
「D&I意識醸成」「D&Iが事業活動に組み込まれる文化形成」「イノベーション文化形成」をビジョン達成に向けた重要なテーマとして定めるとともに、3つのステップに区分しそれぞれにキーゴールを設定することで、早期のD&I文化の醸成を図ります。ステップ1では、グループ各社がそれぞれ定めた年次有給休暇取得目標の達成と、男女育児休業取得率100%をキーゴールに設定しました。この達成を通じて、職場環境の整備や管理職の意識の変化などにつなげることを目指しています。
指標と目標
目標・KPIと実績データ
項目 | 2030年 目標 |
単位 | 2020年度 実績 |
2021年度 実績 |
2022年度 実績 |
2023年度 実績 |
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多様な人材の活躍促進 | KPI女性マネジメント職層比率※1・4 | 20 | % | 10.9 | 11.0 | 13.9 | 14.7 |
多様な働き方の促進 | KPI男女育児休業取得率※2・4 | 100 | % | ー | ー | 64.5 | 101.2 |
うち男性育児休業取得率※2・4 | 100 | % | ー | ー | 38.6 | 102.9 | |
KPIインクルーシブデザインの商品・サービスの提供 | ー | 4回の体験会実施(計51名参加) | |||||
KPI1on1ミーティングの実施率※3 | 100 | % | ー | 84 | 83 | 82 |
マネジメント職層比率:女性管理職数+女性管理職候補数/全管理職数+全管理職候補数
2022年度より、厚生労働省指針(育児休業取得状況の公表の義務化)にあわせた有価証券報告書の開示計算に則った開示に変更したため、2022年度からの開示となります。(国内連結子会社のみを対象としております)
2023年3月期までは、野村不動産グループ(国内のみ)で実施したアンケート調査結果を掲載しており、2024年3月期は野村不動産グループ(国内のみ)の意識調査の結果を記載しています。
国内連結子会社のみを対象としています。
2030年までの重点課題(マテリアリティ)に関する計測指標(KPI)
その他実績データ※1
項目 | 単位 | 2020年度 実績 |
2021年度 実績 |
2022年度 実績 |
2023年度 実績 |
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女性従業員比率 | % | 31.8 | 32.5 | 33.0 | 33.5 | |
新卒女性採用比率※2 | % | 42.0 | 39.8 | 39.3 | 46.4 | |
男女間賃金格差※3 | 全ての従業員 | % | ー | ー | 61.4 | 61.6 |
うち正規雇用社員 | % | ー | ー | 58.5 | 58.8 | |
うちパート・有期雇用社員 | % | ー | ー | 89.7 | 89.5 | |
外国籍雇用者数※4 | 人 | 140 | 151 | 158 | 230 | |
障がい者雇用率※5 | % | 2.05 | 2.33 | 2.31 | 2.26 | |
育児休業取得者数※6・7 | 全ての従業員 | 人 | 289 | 320 | 193 | 341 |
うち男性従業員 | 人 | 28 | 35 | 71 | 212 | |
育児休業復職率※7 | 全ての従業員 | % | 96.2 | 92.9 | 98.8 | 96.9 |
うち男性従業員 | % | 100 | 100 | 100 | 100 | |
介護休業取得者数※7 | 人 | 6 | 5 | 8 | 7 | |
キャリア採用比率※8 | 野村不動産 | % | 29.3 | 49.1 | 60.9 | 45.2 |
野村不動産ソリューションズ | % | 21.1 | 27.5 | 28.9 | 49.4 | |
野村不動産パートナーズ | % | 35.6 | 38.1 | 44.4 | 59.3 | |
野村不動産ライフ&スポーツ | % | 43.9 | 45.7 | 37.5 | 50.2 |
「女性従業員比率」「新卒女性比率」は海外法人を含み、「男女間賃金格差」「育児休業取得者数」「育児休業復職率」「介護休業取得者数」は、国内法人のみを対象としております。また、2024年3月31日時点(一部期間)の数字を示しております。
各年度中に採用した人数を示しております(入社は翌年度4月付け)
男性の賃金に対する女性の賃金の割合。なお、当社グループでは、男女間で同一の賃金制度を適用しており、同等級内において共通の処遇を行っております。また、人事評価に関しても男女共通の基準で実施しており、人事制度上の男女間の差異は設けておりません。
海外に拠点を置く現地法人等への勤務者も含みますが、外国人技能実習生は除いています。なお、連結子会社を対象としており、一部集計方法を変更しております。
障がい者雇用率は、翌年度の6月1日時点のものです。対象は、障がい者雇用率制度の対象となるグループ企業です。
2022年度より、厚生労働省指針(育児休業取得状況の公表の義務化)にあわせた有価証券報告書の開示計算に則った開示に変更しております。また、国内連結子会社のみを対象としております。
国内連結子会社のみを対象としています。
労働施策総合推進法に基づく正規雇用労働者数に占める正規雇用の中途採用者数の割合を公表しています。
取り組み
全社員活躍に向けた取り組み
1on1ミーティングの推進と心理的安全性の醸成
当社グループは社員の成長とウェルネスを実現するために、日々の業務推進における社員の心理的安全性が確保されることが重要と考え、2020年10月よりグループ全体で1on1ミーティングを導入しています。導入にあたっては、当社オリジナルの1on1ハンドブックをグループ全役職員に配布、および全管理監督者に対する1on1導入ガイダンスを実施しました。
また、2022年8月には、グループ全役職員を対象にグループ共通で1on1に関するe-learningを実施しました。あわせて2022年、2023年にグループ法務コンプライアンス部が主催した「コンプライアンス研修」では、グループ各社の部室店長とコンプライアンス推進責任者を対象に、「心理的安全性とリーダーが取組むべきこと」をテーマとして研修を実施しました。
なお、1on1ミーティング実施の進捗度に関しては、毎年グループ全社でアンケートを実施し、確認しています。
「◎あなたの声があしたをつなぐ!」 野村不動産グループ サステナビリティ、ウェルネス・D&I意識調査を実施
野村不動産グループ職員が普段捉えている会社や職場の良い点や課題点を経営と共有し、よりよい職場づくりに活かすことを目的とし、2022年8月からグループ合同でウェルネス・D&I意識調査(「◎あなたの声があしたをつなぐ!」)を実施しています。グループ全体での従業員満足度・自発的貢献意欲の指標の見える化を実施し、グループ共通課題に対する施策の検討等のグループシナジーをより一層促進していきます。
女性の活躍促進に向けた取り組み
2016年4月1日に「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(以下、女性活躍推進法)」が全面施行されたことに伴い、グループ各社では、女性の活躍推進にかかる行動計画を策定し、取り組みを進めています。
採用、継続就業、登用に関しての課題を分析し、各種課題についての施策を実施しています。
女性管理職、女性マネジメント職層比率
女性管理職比率、女性マネジメント職層比率に関しては、年2回開催の人材・ウェルネス・D&I委員会にてモニタリングを実施しています。2030年までに女性マネジメント職比率20%を目指しており、2024年3月末現在の女性マネジメント職層比率は14.7%でした。野村不動産の新卒採用に関しては、女性の学生を対象に野村不動産の女性社員が登壇して働き方やキャリアをテーマとしたイベントを毎年実施しています。女性の活躍機会の拡大や多様な視点を取り入れた組織づくりを図るため、女性管理職比率、女性マネジメント職層比率の向上に取り組んでいます。
男女間賃金格差縮小に向けた取り組み
当社グループは男女間で同一の賃金制度を適用しており、同等級において共通の処遇を行っています。また、人事評価に関しても男女共通の基準で実施しており、人事制度上の男女間の差異は設けていません。一方、女性管理職比率が低いことが男女間の賃金差異の主要因となっています。女性採用比率の向上、女性の継続就業・登用・リーダー育成に関する施策の実行などの取り組みにより、女性管理職比率の向上を図り、男女間の賃金差異の縮小に努めていきます。
有価証券報告書 > 第1【企業の概況】> 5【従業員の状況】
女性の健康セミナーの実施
当社グループは、女性特有の健康課題に配慮した職場環境の整備や適切なマネジメントの促進に向け、新任基幹職を対象にセミナーを年1回実施しており、2023年度は207名が参加しました。また、女性社員に対しては、健康課題に直面したときに適切に対処できるよう、自身の健康についての正しい知識の把握・習得を目的に健康サポートセミナーを年1回実施しています。2023年度は703名がオンライン形式で参加しました。
仕事と子育て介護との両立支援
当社グループでは、次世代の社会を担う子どもの健全な育成を支援するための法律「次世代育成支援対策推進法」に基づき、育児休業をはじめとしたさまざまな制度を整えています。
野村不動産ソリューションズ社・プライムクロス社の2社は、上記法律に基づき、子育てサポート企業として認定され、「次世代認定マーク(愛称:プラチナくるみん)」を取得しています。また、野村不動産ライフ&スポーツは女性活躍推進法に基づく認定マーク「えるぼし(3つ星)」を、野村不動産ソリューションズ・プライムクロスの2社は「えるぼし(2つ星)」を取得しています。加えて、イントラネットなどを通じて制度の周知等を行い、制度を活用しやすい職場環境を整備しています。2023年度に育児休業から復職者は216名おり、男女それぞれの復職率は男性100%、女性96.9%でした。
また野村不動産などでは、産育休・介護・休職者専用サイトを設置しており、復業支援の体制を構築しています。
ニュースリリース(野村不動産グループ13社 「イクボス企業同盟」に加盟)
ニュースリリース(グループ8社にて、「出生時育児休業(産後パパ育休)」を100%有給化)
主な育児・介護を支援する制度
各種制度 | 内容 |
---|---|
育児休業 | 性別問わず、育児のために、子供が満3歳になるまで 休暇取得が可能 |
育児短時間勤務 | 性別問わず、子供が小学校3年生まで、短時間勤務が可能 |
介護休業 | 介護を要する家族の介護のために、最長通算3年、かつ、分割取得による休暇取得が可能 |
介護短時間勤務 | 介護を要する家族の介護のために、最長3年間の短時間勤務が可能 |
休日保育支援※1 | 土日祝出勤が必要な社員に対して、土日祝の保育費用を補助 |
男性従業員の バース休暇制度※1 |
生後半年まで、年次有給休暇を充当する形で、5日間の休暇取得が可能 |
アンダーライン:法定以上の制度設計
野村不動産、ほか一部事業会社が対象
LGBT活躍推進
当社グループはLGBT活躍推進の取り組みとして、2020年12月には、当社グループ全役員および野村不動産の部長を対象に「職場におけるLGBT」をテーマにしたパネルディスカッションを実施しました。
また、LGBTに関する定期コラム(2カ月に1度)のイントラ掲載による社内啓発活動実施を実施しています。
野村不動産グループ従業員を対象とした意識調査を実施し、LGBT当事者がいきいきと自分らしく働くことができる職場だと感じられるかについて把握できるように数値のモニタリングを実施しながら、LGBT当事者が自分らしく、安心して仕事に従事できるよう、引き続き職場環境の整備に努めていきます。
また、LGBT等のセクシャル・マイノリティに関する企業や団体の取り組みが評価される「PRIDE指標2023」において、野村不動産ホールディングス、野村不動産、野村不動産投資顧問、野村不動産ライフ&スポーツは「ゴールド」、野村不動産ソリューションズは「シルバー」、野村不動産パートナーズは「ブロンズ」に認定されました。
「PRIDE指標」は、LGBTに関するダイバーシティ・マネジメントの促進と定着を支援する任意団体work with Prideが2016年より創設した企業・団体のLGBT等の性的マイノリティに関する取り組みを表彰する制度です。
障がい者活躍推進
当社グループでは、これまで以上に障がい者の採用を積極的に行うために、2020年度から野村不動産において屋内型農園施設を、また2021年度より野村不動産ソリューションズではサテライトオフィスにて、新たな就業機会を提供しています。
加えて、野村不動産ライフ&スポーツでは6名、野村不動産パートナーズでは2名の障がい者アスリートを雇用し、競技生活と仕事の両立を目指す雇用形態とするなどの活動支援を行っています。
シニア活躍推進
当社グループは、シニア世代の豊富な経験やスキルを引き続き事業発展の推進力とし、本人たちにも活躍の場を提供すべく、定年退職後も就業を希望する従業員に対し、再雇用制度による雇用延長を実施しています。本制度の下、本人の希望に応じて最長65歳まで雇用機会を確保します。また、一部のグループ会社では、65歳以降も本人の希望によりパートタイマーとして働ける雇用制度を設け、シニア世代の希望に沿った働き方を支援しています。
グローバル人材の活躍推進
当社グループは、採用に際して、人種、民族、国籍、年齢、性別、性的指向、性自認、障がいの有無、宗教、信条、社会的身分、ライフスタイル、ライフステージ等によって不利益が生じないよう、社内整備したハンドブック等を用いて、配慮しています。また、従業員の信教にともなう慣習・行為に対しては、一定のルールに基づいた上で配慮ある対応をとっています。ほか、多様な価値観を持つ人材が個々の能力を最大限に発揮し、新たな価値創造につなげていけるよう、人種、民族、国籍、宗教などを問わずグローバルに活躍できる人材を採用し、活躍を支援しています。特に、グループ会社が拠点を構える中国、香港、タイ、シンガポール、ベトナムでは、国・地域ごとに異なるニーズを迅速かつ的確に汲み取り、事業活動に反映していくべく、積極的に現地人材を採用し、海外戦略の強化を図っています。
グローバル人材確保に向けた主な取り組み事例
対象 | 主な取り組み |
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グローバル人材雇用 | ・外国人留学生向け採用イベントへ参加&選考実施 |
勉強会の実施
グループ新任基幹職研修でのアンコンシャスバイアス研修の実施
野村不動産グループ新任基幹職に向けた階層別研修の一つとして、アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)に関する研修を毎年実施しています。
インクルーシブデザイン勉強会・体験会
当社グループは、インクルーシブデザインを「商品・サービスづくり等のプロセスへ多様な背景・価値観を持つ人々の参画により、新たな気づきを得て、まだ見ぬ価値を創造するための手法」と定義しています。また、インクルーシブデザインを推進・社内浸透する一環として、外部企業のサポートのもと「インクルーシブデザイン勉強会」「インクルーシブデザイン体験会」などを実施しています。
サステナビリティ
- 環境(気候変動と自然環境)
- 社会(社会と社員)
- ガバナンス
- ESGデータ集