リスク管理
考え方・方針
野村不動産グループは、地域社会やテナントなどすべてのステークホルダーと対話を通じながら、それぞれが抱える社会課題解決に取り組み、地域コミュニティの活性化を実現していきます。
地域社会の課題では少子高齢化や空き家の増加などによるコミュニティの機能不全や活力低下、つながりの希薄化を認識しており、建築設計上の取り組みや運営・管理上のサービスを通じて、お客さまや地域社会の繋がりを醸成し、地域コミュニティの育成を支援します。
このことにより、非常時の円滑な共助や地域コミュニティの活性化を促進、共生型社会の実現に貢献します。
特に、防災面における地域課題では、テナント・地域コミュニティとともに定期的に防災訓練を実施しております。ほか、コミュニティ面においては、「日本橋洗い」、「ホタルがすむ街づくり展」等イベントを通して、当社グループ従業員が清掃ボランティア活動や地域行事を参加し、地域社会の皆様との対話・交流を行うほか、地域とつながる街づくりとして「Be UNITED構想」を推進しております。
また、不動産開発や街づくりにおいて、既存の地域コミュニティの皆さまの生活・事業環境に及ぼす影響に配慮し、ステークホルダーとの継続的な信頼関係の構築に努めています。
地域コミュニティとのエンゲージメント
当社グループでは、地域にかかわる事業を展開している事業体として、目指す地域・コミュニティ活性化の実現には、ステークホルダーである保有マンション、オフィスビルに住み働く人々、周辺の自治会等とともに歩を進める必要があり、ステークホルダーの皆さまとのエンゲージメントを実施することを重視しています。当社グループの地域・コミュニティ活性化に向けた姿勢や方針を十分に理解いただき、賛同を得ることが重要であるという認識の下、多様な形式によるエンゲージメントを通じて、強靭な地域コミュニティの土台づくりに注力しています。
具体的には、オフィスビルや商業施設における夏祭りやクリスマスイベントなどの地域イベント等におけるお客さま同士の交流や、お客さまと自治体、行政との交流など幅広いコミュニケーションを推進する他、商業施設における目安箱の設置や、何かお困りの場合はお問い合わせ窓口にご連絡をいただくなど、適宜、コミュニケーションの取れる体制を築いています。
指標と目標
実績データ
地域・コミュニティ活性化に向けたコミュニティ活性化支援実績
単位 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
---|---|---|---|---|---|
新築住宅における地域貢献施設設置物件数 | 件 | 5 | 6 | 4 | 3 |
オープン型コミュニティ施設 「Be ACTO」開業件数(累計) |
件 | 2 | 2 | 3 | 3 |
「Be ACTO」会員数 | 人 | ー | ー | 1,306 | 1,732 |
小学校向け授業プログラム実施件数 | 回 | ー | ー | 10 | 35 |
分譲住宅における入居前交流会開催件数 | 件 | ー※1 | ー※1 | 11 | 20 |
中規模オフィスブランドPMOおよびH¹Oにおけるテナント企業交流会参加社数 | 社 | ー※1 | ー※1 | ー※1 | 85 |
2020年度・2021年度・2022年度は、新型コロナウイルス感染症対策として開催していません。2023年度よりH¹Oの実績も追加しております。
「Be ACTO」についてはこちらをご覧ください
地域・コミュニティ活性化に向けたステークホルダーとのエンゲージメント
ステークホルダー | エンゲージメントの形式 | 頻度 | エンゲージメントのテーマ(詳細) |
---|---|---|---|
地域コミュニティ | Be ACT:当社が運営に併走するコミュニティマネジメントの形式 | 各種イベント等を不定期に開催 | 地域住民の方と地域の価値を考え、創造しつづける街づくり |
地域コミュニティ | Be UNITED構想:NPO法人や行政、地域コミュニティと協働 | 協働先に応じて実施 | 地域の多様なステークホルダーと協働し、新しい価値や地域の魅力を高めていくことを目的としている |
テナント | 交流会参加社数 | 数回/年 | 弊社中規模オフィスブランドPMOをご利用の利用者さまの交流を促し、利用価値の向上や、利用者のウェルビーイングに繋がる |
居住者 | 入居前交流会開催 | 各分譲住宅 入居前 |
分譲住宅にご入居いただく前に、入居される方々が安心いただくとともに、コミュニティの形成の土壌にしていくことを目指す |
取り組み
コミュニティを活性化する設計・デザイン
当社グループは、居住者やテナント企業などのお客さまが、入居後も長期にわたりコミュニティを育むことができるよう、コミュニティの育成と活性化を促す設計・デザインを推進しています。
「マンションコミュニティのためのデザイン手法100」
当社グループは、日本女子大学大学院との産学協同研究により「マンションコミュニティのためのデザイン手法100」(以下、「デザイン手法100」)を策定し、マンションの商品企画に反映しています。「デザイン手法100」は、当社グループが分譲したマンションの共用部の使用状況調査や「住み心地満足度調査」の結果を踏まえ、コミュニティを活性化するための設計・デザイン上の手法をまとめたものです。
居住者が一人ひとりのライフスタイルを大切にしながら、災害などの非常時には助け合うことのできる、快適なコミュニティの育成を目指しています。
テナント専用コミュニティフロア 「NEON(ネオン)」
当社グループは、「新宿野村ビル」(東京都新宿区)と「浜松町ビルディング」(東京都港区)に、テナント企業と当社グループの役職員専用のコミュニティフロアを設置しました。社内外交流と働く場所の選択肢を増やすことを目的とし、食事利用のスペースやコワーキングスペース、イベントスペースを提供しています。
サービス付き小規模オフィス 「H¹O(エイチワンオー)」
当社グループが新たに展開している「H¹O」シリーズでは、建物の共用部は仕事のON/OFFがスイッチできるような空間設計をしています。アロマ空調やシャワールーム(一部物件)など、一息ついて肩の力を抜ける場所をご用意しているほか、ヘルシーフードの提供、各種研修やイベントを企画し、入居者さま同士のコミュニティ形成を促進していきます。
自然とコミュニティ形成が行われる共用部の動線計画
当社グループは、健康増進型・賃貸シニアレジデンス「オウカス」において、共用部(メイン・ゲストダイニング、カラオケ&シアター、フィットネススタジオ、コミュニティカフェ、大浴場等)を1階に設け、人が集まり、自然と交流が図れる動線計画としています。
運営・管理におけるコミュニティ活性化支援
当社グループは、入居後も長期にわたり、お客さまのコミュニティが健全に機能するよう、居住者・テナント企業を対象とした交流会や情報誌の発行などを行っています。2022年度は住宅において入居前のハウスウォーミングパーティーを11件、オフィスビルでは、2023年度に「PMO」および「H¹O」のテナント企業交流会を3件開催し、計85社に参加いただきました。
地域とつながる街づくり「Be UNITED構想」
当社グループは、お客さまが入居後も長期間にわたり地域の皆さまと信頼関係を築けるよう、つくって終わりではない「姿勢」を価値として提案できるよう努めています。開発段階からNPO法人や行政、地域コミュニティと協働し、長期間にわたり事業や活動を通じて地域の中に会話をつくることで価値を再認識しながら地域に良い循環を生み出す、そんな街づくりを目指しています。
「Be ACTO」による循環型コミュニティの創出
Be ACTOは、当社グループが運営に伴走するエリアマネジメントの仕組みです。当社グループでは、エリアマネジメントとは、そこに住む人たちといっしょに継続的に地域の価値を考え、創造しつづけていくための活動だと考えています。地域に住む人々が、お互いに頼ったり頼られたり、そんな関係づくりのお手伝いをしつづけることで、その地域ならではの世代を超えた循環型コミュニティ醸成の苗床になればと、第1弾の「Be ACTO日吉」に続き、「Be ACTO亀戸」「MEGURO MARC」とさまざまなエリアで始まっています。
「オウカス船橋」と地域のつながり
当社グループは、地域の健康支援と多世代交流の拠点として、健康増進型・賃貸シニアレジデンス「オウカス船橋」のフィットネススタジオとコミュニティカフェを定期的に地域に開放しています。
スポーツクラブにおける地域・学校とのつながり
スポーツクラブ「メガロス」は、スポーツは成長過程の子どもたちの能力を育てる力を有していると考えており、中でも自尊心、やり抜く力、協調性に代表される「非認知スキル」に注目しています。非認知スキルを育てるため、メガロスが街とつながり、子どもたちの非認知スキルを育てる場を積極的につくると同時に、より良い街づくりにも貢献する「こどもみらいプロジェクト」を展開しています。
地域の子どもたちに密着したプロジェクトには、育てる場となる地域、幼稚園や保育園、学校とのつながりが不可欠であることから、水泳・体育の授業の受託、出張レッスン、プール貸し出しなど、メガロスを拠点にそれぞれとのつながりを強化する多様な取り組みを行っています。
こうした取り組みが評価され、グッドデザイン賞を2020年に受賞しました。
こどもみらいプロジェクト
地域・社会貢献
教育プログラムでのコミュニケーション
当社グループでは、「あしたを、つなぐ」新しい街づくりの取り組みとして、子供たちの、街への興味や関心を育み、街の中の大切なものをいっしょに考えていくための教育プログラムを開発し提供しています。東京学芸大学監修で開発した「まちをみるめ」、埼玉大学の教育学部の学生と共に開発した「推しの木」といった出張授業の他、慶応義塾の大学院と共同研究で開発した「まちおに」は、大人も子供も一緒になって楽しめる地域の鬼ごっこをつくるプログラムです。また、スポーツクラブ「メガロス」では、スイミング、ミライク、体育スクールなどのスポーツ系習い事に加え、こういったプログラムを提供するキッズアフタースクールを運営しています。
地域との信頼関係の構築
不動産開発や街づくりにあたっては、行政・地権者・近隣住民の皆さまと合意形成を図り、信頼関係を構築するための取り組みを実施しています。
近隣説明会の実施
当社グループの人権方針では「事業を展開する国・地域との共生を目指しており、それぞれの地で、多様な人びとを惹きつけ続ける持続的なコミュニティを醸成し、支援していきます。また、建物の安全性、および建設工事における騒音・振動・粉塵等の周辺環境への影響に配慮し、当社の事業活動に影響を受ける地域の皆様の生命および健康に関わる人権を尊重します。」と表明しております。
建物建設時においては、特に「水質悪化・土砂災害」「騒音・振動・粉塵」「落下物などによる事故」などの懸念、建設後においては「周辺交通量の変化」などの懸念が出てくることが想定され、開発地における近隣説明会の開催を通して、真摯な説明を心掛け、建設の際には地域の方々の安心・安全を最優先し、工事を行っています。
公共交通機関へのアクセスの配慮
当社グループは、土地や物件の取得にあたり、お客さまやコミュニティの皆さまが負担なく居住・利用できるよう、すべての事業において公共交通機関への動線に配慮しています。
コミュニティからの雇用・調達
当社グループは、コミュニティの持続的な発展と継続的な信頼関係の構築のため、事業を行う地域コミュニティからの雇用・調達を推進しています。 特に、ホテル事業においては、地域の特産品の活用、海外事業においては現地雇用を積極的に実施しています。
当建物のテナントのウェルビーイング向上
オフィスビルをはじめとした建物の利用者に健康性、快適性の維持や増進に寄与する空間を提供していくために、グループ全体の施策として、ウェルビーイング向上につながる建築仕様・性能の採用、利用者に向けての各種プログラムの実践に取り組んでいます。また、すべての収益不動産でのCASBEEウェルネスオフィス認証※の取得(カバー率:100%)を原則化し、取り組み強化を図っています。
【ウェルビーイング向上を視野に入れた主な仕様・性能】
・室内騒音の消音
・自然光の導入、適切な照度
・自然とのつながりなどオフィスからの眺望を意識した設計
・リフレッシュスペースの確保
【利用者に向けての主なプログラム】
・運動促進
・動線上の出会いの場の創出
・満足度調査の定期実施
一般財団法人 住宅・建築SDGs推進センターが主催する、建物利用者の健康性、快適性の維持・増進を支援する建物の仕様、性能、取り組みを評価する認証
サステナビリティ
- 環境(気候変動と自然環境)
- 社会(社会と社員)
- ガバナンス
- ESGデータ集