考え方・方針

全体方針(ガバナンス)

野村不動産ホールディングスは、株主をはじめとするステークホルダーの利益を考慮しつつ、長期的、継続的に企業グループ価値を最大化するように統治されなければならないと考えています。そこでグループ全体の収益力の向上を目指して、持株会社として傘下子会社の事業活動を管理、監督するとともに、「コーポレートガバナンスに関する基本方針」にのっとり、より透明性の高い経営体制の構築に努めています。

コーポレート・ガバナンス報告書

コーポレート・ガバナンス報告書
(最終更新日:2024年10月28日)

株主の権利・平等性の確保

政策保有株式について

野村不動産ホールディングスは、政策保有株式について、「コーポレートガバナンスに関する基本方針」において「政策保有株式に係る基本方針」を策定しています。

【政策保有株式に係る基本方針】
「コーポレートガバナンスに関する基本方針」より抜粋

第4条 当社は、取引先との取引関係の強化、戦略的な業務提携等の総合的な観点から、当社の企業価値向上に資すると認められるものであることを株式の政策保有方針とする。

2株式の政策保有に当たっては、当社グループとの取引状況や投資先企業の経営状況等を定期的に把握し、当社の企業価値向上に資するかという観点から、継続的な保有の合理性について取締役会にて毎年検証を行うとともに、当該検証を踏まえ、保有の合理性が低い株式については、市場環境等を考慮しつつ、売却を行う。

3政策保有株式に係る議決権の行使に当たっては、投資先企業の企業価値向上を通じて当社の企業価値向上に資するかどうかを基準に適切に判断する。

4当社の株式を政策保有株式として保有している会社(政策保有株主)から当該株式の売却等の意向が示された場合であっても、取引の縮減等を示唆することなどにより、株式の売却を妨げることのないよう、適切に対応することとする。

5政策保有株主との間による取引においても、他取引先と同様に、経済合理性を十分に検証した上で取引を行う

取締役会等の責務

取締役の選任

当社は、定款に基づき、取締役を、監査等委員である取締役とそれ以外の取締役に区別して、毎年株主総会において選任しています。取締役は、さまざまな分野の事業を営む会社を統括する持株会社として必要なバランスと多様性を確保するため、国籍、性別にこだわらず、さまざまな知識・経験・能力を有する多様な取締役で構成し、実効的に機能するために適切な規模として、取締役(監査等委員である取締役を除く)12名以内、監査等委員である取締役6名以内としています。取締役の平均在任期間は4.13年です(2024年3月31日時点)。

独立社外取締役の独立性基準

当社は、独立社外取締役の独立性基準を以下の通り定めています。

【独立社外取締役の独立性基準】

「コーポレートガバナンスに関する基本方針」第14条抜粋
第14条 取締役会は、東京証券取引所の定める独立役員の独立性基準に加え、独立社外取締役の独立性に関する基準を定め、以下各号のいずれにも該当しないことを確認した上で、独立社外取締役候補を指名する

(1)当社または子会社との間で役員の相互就任関係にある他の会社の業務執行者

(2)当社または子会社の主要な取引先もしくは当社または子会社を主要な取引先とする者(当該取引先が法人の場合はその業務執行者)

(3)最終事業年度において、当社または子会社から役員報酬以外に1,000万円以上の金銭その他の財産上の利益を得ているコンサルタント、会計専門家または法律専門家

(4)当社または子会社から多額の金銭その他の財産上の利益を得ている法律事務所、会計事務所、コンサルティング会社等の専門サービスを提供する法人等に所属する者

(5)当社の主要株主(主要株主が法人である場合には、当該法人の業務執行者または過去に業務執行者であった者)、主幹事証券会社の業務執行者または過去に業務執行者であった者

(6)(1)から(5)に掲げる者の近親者

主要な取引先とは、ある取引先の当社グループとの取引が、当社または当該取引先の最終事業年度における年間連結売上の2%の金額を超える取引先をいう

多額の金銭その他の財産上の利益とは、当該法人等の最終事業年度における年間連結売上の2%の金額を超える利益をいう

氏名 髙倉 千春
選任の理由 同氏は、グローバル企業の人事部門の業務執行の要職において長年にわたり活躍され、政府機関の専門委員会への参画等を通じて人材戦略・人材開発を含む人的資本経営の推進等に関する豊富な知識、経験と幅広い見識を有されており、これらを活かすことで、取締役会の監督機能及びコーポレート・ガバナンス体制の強化と公正で透明性の高い経営の実現に資することが期待されるため、社外取締役として選任しております。また、同氏の属性や当社との関係等から、一般株主との利益相反が生じるおそれのないものと判断し、同氏を東京証券取引所が規定する独立役員に指定しております。
氏名 山下 良則
選任の理由 同氏は、経営者として長年にわたり活躍され、企業経営に関する豊富な知識、経験と幅広い見識を有されており、これらを活かすことで、取締役会の監督機能及びコーポレート・ガバナンス体制の強化と公正で透明性の高い経営の実現に資することが期待されるため、社外取締役として選任しております。また、同氏の属性や当社との関係等から、一般株主との利益相反が生じるおそれのないものと判断し、同氏を東京証券取引所が規定する独立役員に指定しております。
氏名 茂木 良夫
選任の理由 同氏は、経営者として長年にわたり活躍され、企業経営に関する豊富な知識、経験と幅広い見識を有されております。これまでの豊富な経験や知見等は、取締役会の監督機能及びコーポレート・ガバナンス体制の強化と監査体制の充実に資することが期待されるため、監査等委員である社外取締役として選任しております。また、同氏の属性や当社との関係等から、一般株主との利益相反が生じるおそれのないものと判断し、同氏を東京証券取引所が規定する独立役員に指定しております。
氏名 宮川 明子
選任の理由 同氏は、公認会計士として長年にわたり活躍され、会計及び監査の専門家としての豊富な知識、経験と幅広い見識を有されしております。同氏は社外役員となること以外の方法で会社の経営に直接関与された経験はありませんが、これまでの豊富な経験や知見等は、取締役会の監督機能及びコーポレート・ガバナンス体制の強化と監査体制の充実に資することが期待されるため、監査等委員である社外取締役として選任しております。また、同氏の属性や当社との関係等から、一般株主との利益相反が生じるおそれのないものと判断し、同氏を東京証券取引所が規定する独立役員に指定しております。
氏名 高橋 鉄
選任の理由 同氏は、弁護士として長年にわたり活躍され、法律の専門家として豊富な知識、経験と幅広い見識を有されております。同氏は社外役員となること以外の方法で会社経営に関与したことはありませんが、法律事務所代表並びに社外取締役・監査役としての豊富な経験や知見等は、取締役の監督機能及びコーポレート・ガバナンス体制の強化と監査体制の充実に資することが期待されるため、監査等委員である社外取締役として選任しております。また、同氏の属性や当社との関係等から、一般株主との利益相反が生じるおそれのないものと判断し、同氏を東京証券取引所が規定する独立役員に指定しております。
氏名 末村 あおぎ
選任の理由 同氏は、公認会計士として長年にわたり活躍され、会計及び監査の専門家としての豊富な知識、経験と幅広い見識を有されております。同氏は社外役員となること以外の方法で会社経営に関与したことはありませんが、公認会計士並びに社外取締役・監査役としての豊富な経験や知見等は、取締役会の監督機能及びコーポレート・ガバナンス体制の強化と監査体制の充実に資することが期待されるため、監査等委員である社外取締役として選任しております。また、同氏の属性や当社との関係等から、一般株主との利益相反が生じるおそれのないものと判断し、同氏を東京証券取引所が規定する独立役員に指定しております。

取締役会の多様性に関する考え方

様々な分野の事業を営む会社を統括する持株会社として必要なバランスと多様性を確保するため、様々な知識・経験・能力を有し、性別、人種、国籍、文化的背景を問わず多様な取締役を登用する方針としています。

取締役会の実効性評価

2023年度の取締役会の実効性評価においては、昨年度に引き続き、アンケート調査及び第三者評価機関を活用したインタビューを全ての取締役(監査等委員を含む)に対し実施しました。その結果を踏まえた取締役会での審議による分析・評価結果の概要は以下のとおりです。

分析・評価結果
評価された点 課題・今後の改善策など
【構  成】 取締役会の規模や、独立社外取締役の割合については概ね適切である。
【討論状況】 各取締役がその知識・経験を活かし、社内・社外の枠を越えて、議論は自由・活発に行われている。特に社外取締役の知見等により議論の充実が図れている。
【運  営】 資料の事前提供・議案数の平準化等、安定的な運用がなされている。 重要議案の審議時間をより一層確保するため、引き続き改善に取り組む必要がある。
【審議内容】 個別案件の審議において、当社の持続的成長・企業価値の向上の観点に基づく一定の充実した議論がなされている。 中長期的な視点が求められる戦略討議については、更なる充実を図る必要がある。
2024年度については、「中長期的な企業価値の向上に向けた討議の充実」と「IR・ガバナンス機能の強化」を重点施策と位置づけ、より一層の企業価値向上及びコーポレート・ガバナンス強化に向けた取り組みを推進する。

今後も取締役会の実効性評価を毎年実施することで、改善状況を定期的に把握し、取締役会の更なる向上を図ってまいります

役員報酬制度

役員区分ごとの報酬など

(2023年度)

取締役
(監査等委員である取締役を除く)
(社外取締役を除く)
取締役
(監査等委員)
(社外取締役を除く)
社外取締役
報酬等の総額(百万円) 707 102 66
基本報酬(百万円) 279 102 63
賞与(業績連動報酬等)(百万円) 144
株式報酬等
(非金銭報酬等)
(百万円)
業績連動部分
(百万円)
196
非業績連動部分
(百万円)
86 3
対象となる役員の員数(名) 6 2 4

2023年度末現在の取締役(監査等委員である取締役、及び社外取締役を除く。)は5名であります。上記「対象となる役員の員数」欄と相違しておりますのは、2023年6月23日開催の定時株主総会終結の時もって退任した1名が含まれていることによるものであります。

2023年度末現在の取締役(監査等委員)(社外取締役を除く。)は2名であります。

2023年度末現在の社外取締役は4名であります。

取締役の報酬額は、2023年度において支払われたか否かにかかわらず、当社が2023年度に係る報酬等として費用計上した金額を基に記載しております。なお、上記「賞与(業績連動報酬等)」欄の支給額には、2022年度に係る取締役(監査等委員である取締役及び社外取締役を除く)5名に対する役員賞与引当金と2023年度中において支給した賞与額との差額(13百万円)は含まれておりません。また、株式報酬等のうち業績連動部分について、2023年度において、取締役(監査等委員である取締役及び社外取締役を除く)2名に対する付与ポイント数として過年度において費用計上した金額と2023年度中の株式等の交付等により支給した金額との差額(4百万円)が発生しておりますが、当該差額金額は上記「株式報酬等(非金銭報酬等)」欄の支給額に含まれておりません。

取締役の報酬(「基本報酬」及び「賞与」)の限度額は、2018年6月26日開催の定時株主総会決議により、取締役(監査等委員である取締役を除く)について年額550百万円以内となっており、決議当時の取締役(監査等委員である取締役を除く)の員数は8名(うち社外取締役2名)です。また、2020年6月23日開催の定時株主総会決議により、取締役(監査等委員)について年額170百万円以内となっており、決議当時の監査等委員である取締役の員数は6名(うち社外取締役4名)です。当社は、これらの報酬額の中で、上記の表の報酬を支給しております。なお、2024年6月21日開催の定時株主総会決議により、取締役(監査等委員)の報酬限度額を年額180百万円以内に改定しており、当該決議に係る監査等委員である取締役の員数は6名(うち社外取締役4名)です。

当社は、上記⑤記載の取締役の報酬額とは別枠で、業績連動型株式報酬等の制度を導入しております。2022年6月24日開催の定時株主総会決議により、2023年3月末日で終了する事業年度から3事業年度を新たな対象期間(期間延長手続きが行われる場合には、以降の各3事業年度とする。)として、取締役(監査等委員である取締役を除く。)への報酬として信託へ拠出する上限を1,650百万円及び672,000株(うち社外取締役については3事業年度ごとに1名あたり上限990万円及び4,030株)としており、決議当時の本制度の対象となる取締役(監査等委員である取締役を除く。)の員数は7名です。

業績連動報酬等のうち、金銭報酬である賞与に係る業績指標等の内容、算定方法及び当該指標を選択した理由等は、下記「役員報酬制度の概要」のとおりであります。なお、業績指標に関する実績は下表のとおりです。

2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期
事業利益 76,448百万円 92,765百万円 105,172百万円 113,665百万円
対前年度比 △7.7% +21.3% +13.4% +8.1%

業績連動報酬等のうち、株式報酬等に係る業績指標等の内容、算定方法及び当該指標を選択した理由等は、下記「役員報酬制度の概要」のとおりです。なお、業績指標のレンジについては下表のとおり決定しています。

(2022年3月期の開始から3年経過後である2024年3月期のレンジ)

レンジ 実績
業績連動係数 0%~200% 143.0%
事業利益 83,300百万円~116,700百万円 113,665百万円
ROE 6.5%~12.5% 10.1%

非金銭報酬等の内容は当社の株式等であり、交付の条件等は、下記「役員報酬制度の概要」のとおりです。株式報酬等のうち業績連動部分について、2023年度において、取締役(監査等委員である取締役及び社外取締役を除く)2名に対する付与ポイント数として過年度において費用計上した金額と2023年度中の株式等の交付等により支給した金額との差額(4百万円)が 発生しておりますが、当該差額金額は下記「株式報酬等(非金銭報酬等)」欄の支給額に含まれておりません。

下記「役員報酬制度の概要」のとおり、取締役会決議に基づき、2024年3月期に係る金銭報酬である基本報酬及び賞与の支給額については、代表取締役社長を務める新井聡氏が、その具体的内容の決定を行っております。代表取締役社長に委任した理由は、当社全体の業績等を勘案しつつ、各取締役の個人査定を行うには代表取締役社長が適していると判断したためであります。なお、委任をした決定権限が代表取締役社長によって適切に行使されるよう、支給水準については指名報酬諮問委員会における審議を経ております。

連結報酬等の総額が1億円以上である者の連結報酬等の総額

氏名 役員区分 会社区分 報酬等の
総額
(百万円)
基本報酬
(百万円)
賞与
(業績連動報酬等)
(百万円)
株式報酬等
(非金銭報酬等)
業績連動
部分
(百万円)
非業績連動
部分
(百万円)
沓掛 英二 取締役 提出会社 162 64 3 52 41
新井 聡 取締役 提出会社 169 64 51 38 15
松尾 大作 取締役 提出会社 157 57 45 41 13
芳賀 真 取締役 提出会社 118 42 31 35 9
黒川 洋 取締役 提出会社 105 38 25 33 8

取締役の報酬額は、2023年度において支払われたか否かにかかわらず、当社が2023年度に係る報酬等として費用計上した金額を基に記載しております。なお、これに加えて、上記「賞与(業績連動報酬等)」欄の支給額には、2022年度に係る役員賞与引当金と2023年度中において支給した賞与額との差額が、上記「株式報酬等(業績連動部分)」欄の支給額には、株式報酬等のうち業績連動部分について、2023年度において、付与ポイント数として過年度において費用計上した金額と2023年度中の株式等の交付等により支給した金額との差額がそれぞれ含まれており、これらは上記「報酬等の総額」欄記載の支給額にも含まれております(役員区分ごとの報酬など④参照)。

役員報酬制度の概要

当社は、取締役会において、監査等委員を除く取締役の個人別の報酬等の内容に係る決定方針を決議しています。なお、当社は、委員の過半数を独立社外取締役で構成する指名報酬諮問委員会を設置しており、取締役に関する報酬制度の運用等については、この指名報酬諮問委員会における審議及び取締役会への答申を踏まえ、取締役会にて決定しています。
また、取締役会は、2023年度に係る取締役の個人別の報酬等について、報酬等の内容の決定方法及び決定された報酬等の内容が当該決定方針と整合していることを確認しており、当該決定方針に沿うものであると判断しております。
なお、2019年度より、気候変動をはじめとする環境課題や社会課題への取り組みを役員の業績評価に組み込んでおります。

(1)基本方針

取締役の報酬は、企業価値の持続的な向上を図るインセンティブとして十分に機能するように、中長期経営計画等と連動した体系とし、個々の取締役の報酬の決定に際しては、取締役としての役割と役位に応じた適正な水準とすることを基本方針とする。

取締役に関する報酬制度の運用及び改定、並びに報酬額の決定等については、指名報酬諮問委員会における審議及び取締役会への答申を踏まえ、取締役会にて決定する。

報酬水準の妥当性の検証及び株式報酬制度の内容検討の際には、必要に応じて外部の報酬コンサルタントからの助言を受けたうえで、会社規模や事業特性等を考慮するものとする。

取締役兼執行役員の報酬は、短期のみでなく中長期を含めた業績向上への明確なインセンティブとして機能するように、「基本報酬」、「賞与」及び「株式報酬」から構成する。

取締役会長及び社外取締役の報酬は、客観的立場から執行を監督する役割を担うことに加え、長期的な企業価値を向上させる役割を担うことから、株主との利害共有の要素も加味して、「基本報酬」及び「株式報酬のうち譲渡制限型(RS)部分」から構成する。

非常勤社内取締役の報酬は、客観的立場から執行を監督する役割を担うことから、「基本報酬」のみの構成とする。

(2)個人別報酬の各種類の割合の決定に関する方針

取締役兼執行役員の各報酬の割合の決定に関しては、上記(1)②及び④を踏まえて決定する。

取締役会長及び社外取締役の報酬の割合の決定に関しては、上記(1)②及び⑤を踏まえて決定する。

非常勤社内取締役の報酬は、上記(1)②及び⑥を踏まえて「基本報酬」のみの構成とする。

(3)個人別報酬の固定報酬(基本報酬)の額の決定に関する方針(報酬付与の時期・条件の決定に関する方針を含む)

取締役としての役割と役位に応じて決定する。

月例の支給とする。

(4)個人別報酬の変動報酬(賞与及び株式報酬)の内容及び額又は数の算定方法の決定に関する方針(報酬付与の時期・条件の決定に関する方針を含む)
<賞与>

連結事業利益等の業績及び個人査定に基づいて決定する。

業績については、上記の評価を中心としつつ、非財務指標(サステナビリティ要素等)による評価も行う。なお、当該評価については、2022年度以降を対象年度とする。

個人査定については、財務的な業績数値だけでは測ることができない単年度施策及び中長期施策の実施状況等を評価する。

毎年事業年度終了後、一定の時期の支給とする。

【参考】
当社は、2022年度より、監査等委員を除く取締役の個人別の報酬等の内容に係る決定方針を改定のうえ、金銭報酬である賞与に係る業績指標等の内容、算定方法について、連結事業利益等の業績による評価を中心としつつ、非財務指標(サステナビリティ要素等)による評価も行うことといたしました。これは、取締役のサステナビリティに対する意識付けの向上を通じた中長期的な企業価値向上に向けた取り組みを推進することを目的としたものであり、2023年度は、当該非財務指標としてBEIを基準とする評価を行いました。

Building Energy-efficiency Indexの略。建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)の省エネ基準に基づく、建築物の省エネルギー性能を評価する指標。建築物の一次エネルギー消費量の水準を示す。

<株式報酬>

業績連動部分として、中長期的な業績向上へのインセンティブとなる「パフォーマンスシェア型(PS)」を採用し、当社株式及び当社株式の換価処分金相当額の金額(以下「当社株式等」)の交付及び給付(以下「交付等」)を各事業年度の開始から3年経過後に行う。

非業績連動部分として、長期的な貢献や企業価値向上へのインセンティブとなる「譲渡制限型(RS)」を採用し、役員退任時まで交付等を繰り延べる。

株式報酬は役員報酬BIP信託(以下「本信託」)の仕組みを採用し、交付等が行われる当社株式等は、以下の算定式に従って算出されるポイント数に応じ、1ポイントにつき当社株式1株として決定する。

【ポイント数の算定式】

●PS部分
役位ごとに予め定められた基準報酬額を本信託が当社株式を取得したときの株価で除して算定したポイント数(PSポイント数)を、各事業年度に付与する。各事業年度に付与されたPSポイント数に対して、当該事業年度の開始から3年経過後の業績に応じて決まる業績連動係数を乗じて、業績連動ポイント数を算出する。業績連動係数は、中長期経営計画で掲げている経営指標のうち、利益成長の観点から「事業利益」を、資本効率性の維持の観点から「ROE」を選定のうえレンジ(0~200%)を設定する。

●RS部分
役位ごとに予め定められた基準報酬額を本信託が当社株式を取得したときの株価で除して算定したポイント数(RSポイント数)を、各事業年度に付与し、加算する。

(5)個人別報酬の内容の決定方法に関する事項

金銭報酬である基本報酬及び賞与の支給額については、取締役会決議に基づき、代表取締役社長がその具体的内容の決定について委任を受けるものとする。

上記①の権限が代表取締役社長によって適切に行使されるよう、支給水準については指名報酬諮問委員会における審議を経るものとする。

(6)個人別報酬のその他の重要な事項
株式報酬について、一定の事由(非違行為等)が生じた場合の当社株式等の交付等相当額の返還請求に関しては、「株式交付規程」に定め、対応する。

【参考】
対象取締役に重大な不正・違反等が発生した場合、当該対象取締役に対し、本制度における当社株式等の交付等を受ける権利の喪失又は没収(マルス)、交付した当社株式等相当の金銭の返還請求(クローバック)ができるものとします。

取締役の株式保有

当社では、監査等委員を除く取締役及び社外取締役を対象に、当社の中長期的な企業価値向上へのインセンティブとして機能する点や当社株主との利害を共有できる点で、自社株式を付与する報酬制度を設けております。

企業統治の体制の概要

取締役会

取締役会は、すべての株主のために、実効的なコーポレート・ガバナンスを実現し、これを通じて、当社が持続的に成長し、長期的な企業価値の最大化を図ることについて責任を負うものと考えております。その責任を果たすために、経営に対する監督機能を発揮して、経営の公正性・透明性を確保するとともに、重要な業務執行の決定等を通じて、当社のために最善の意思決定を行う役割があります。
当社の取締役会は、取締役(監査等委員である取締役を除く)7名(うち社外取締役2名)及び監査等委員である取締役6名(うち社外取締役4名)で構成されており、様々な分野の事業を営む会社を統括する持株会社として必要なバランスと多様性を確保するため、様々な知識・経験・能力を有する多様な取締役を選任しております。議長は取締役会長が務めます。
また、取締役13名のうち6名を独立社外取締役とすることにより、取締役会の監督機能の強化と公正で透明性の高い経営の実現を図っております。

取締役一覧

監査等委員会

当社は、監査等委員会設置会社であり、独立社外取締役が過半数を占める監査等委員会が経営監視の役割を担っています。監査等委員会は、当社の内部統制システムを活用した監査を行い、内部監査部門から定期的に内部監査の実施状況とその結果の報告を受けるとともに、必要に応じて、当社及びグループ会社の取締役、執行役員、業務執行部門に対して報告を求めることができる体制としています。また、監査等委員は、経営会議その他の当社の重要な会議体等へ出席し、業務執行状況に関する情報を収集し、意見を述べることができ、実効的な監査・監督を実施できる体制としています。

監査等委員会の構成(委員6名、うち独立社外取締役4名)
氏名 属性
木村 博行(委員長) 常勤
高山 寧 常勤
茂木 良夫 独立社外取締役
宮川 明子 独立社外取締役
高橋 鉄 独立社外取締役
末村 あおぎ 独立社外取締役

指名報酬諮問委員会

取締役及び執行役員の指名・報酬等に係る取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任を強化するため、取締役会の諮問機関として、委員の過半数を独立社外取締役で構成する指名報酬諮問委員会を設置し、同委員会では、取締役及び執行役員の指名・報酬や後継者計画、トレーニングに関する方針等に係る事項について審議したうえで、その結果を取締役会へ答申いたします。

指名報酬諮問委員会の構成(委員4名、うち独立社外取締役3名)
氏名 属性
山下 良則(委員長) 独立社外取締役
沓掛 英二 取締役会長
高橋 鉄 独立社外取締役・監査等委員
茂木 良夫 独立社外取締役・監査等委員

経営会議

当社は、経営の監督・意思決定機能と業務執行機能を分離し、執行機能の拡充を図ることでグループ経営を強化することを目的に執行役員制度を導入しており、取締役会で選任された各執行役員は、社内規程等に基づき委譲された職務権限により、取締役会で決定した会社の方針及び社長執行役員の指示の下に業務を執行しています。
経営会議は、社長執行役員、副社長執行役員及び執行役員で構成され、グループ会社全般の業務執行に関する一定の事項を決定しています。また、取締役会長及び監査等委員である取締役が出席し、必要に応じて意見を述べています。

その他の委員会

経営会議の下部組織として、当社グループの経営上の方針・課題等を審議する以下の委員会を設置しています。

a. 予算委員会
予算編成及び中長期経営計画策定等のため、予算及び中長期経営計画の立案、並びに執行等に関する事項等について審議しています。

b. リスクマネジメント委員会
リスク管理の実践を通じ、事業の継続及び安定的発展を確保するため、内部統制に関する事項及びグループ経営に係るリスクに関する事項等について審議しています。

c. サステナビリティ委員会
サステナビリティ推進に関する方針・計画策定及び実績管理、並びにグループ社員への理解浸透・各種情報開示等のため、サステナビリティ推進に関する事項等について審議しています。

d. DX戦略委員会
DX推進に関する方針・計画策定、並びにICT環境の充実及び効果的な利用の実現のため、DX戦略に関する事項、並びにICT基盤の整備及び情報システム構築等の投資計画に関する事項等について審議しています

e. 人材・ウェルネス・D&I委員会
事業戦略と連動した人的資本戦略の推進等を目的として、グループ共通の人材面での課題およびグループ各社の適所適材(配置・登用、育成、確保)に関する事項、働く環境の整備(ウェルネス・D&I)に関する事項等について審議しております

内部監査システム

内部統制システム

野村不動産ホールディングスは、取締役会、監査等委員会、及び指名報酬諮問委員会を設置し、内部統制を行っています。

リスクマネジメント体制

当社は、グループ内におけるリスク管理活動を推進するため、当社およびグループ会社の取締役、執行役員等をメンバーとするリスクマネジメント委員会を設置しています。同委員会では、グループ全体のリスク管理、コンプライアンス、情報セキュリティに関する事項について審議するとともに、リスク発生時の対応策についても協議します。

リスクマネジメント

コンプライアンス体制

当社グループでは、法令や企業倫理の遵守等のコンプライアンスを経営の重要課題の一つとして位置付けており、その指針として「野村不動産グループ倫理規程」を策定しています。
さらに、野村不動産ホールディングスにリスクマネジメント委員会およびグループ法務コンプライアンス部を設置し、役職員に対し継続的な教育、啓発活動をグループ一体で推進するとともに、グループ各社への助言、指導および支援を行っています。また、リスク情報収集の観点から、グループ職員の内部通報窓口「野村不動産グループ・ヘルプライン」を設置しています。なお、当社は、内部通報者に対して、その通報の機密を保証し、通報したことによる不利益な取り扱いを禁止しています。

コンプライアンス

内部監査体制

当社グループでは、一部の小規模な会社を除き、各社に内部監査部門を設置しております。同部門は、取締役社長直轄もしくは事業部門を兼務しない担当役員を置き、組織上の独立性を保っております。
加えて、当社にグループ監査部を設置し、会計監査人と連携を図りながら、グループ全体の内部監査機能の統括、モニタリング、評価と当社内の各部の監査を行っております。また、内部監査計画の内容については監査等委員会に報告を行いその同意を得ているほか、同委員会より必要に応じて内部監査計画の変更、追加監査、調査等の勧告又は指示を受けることとしております。なお内部監査計画策定にあたっては、グループ共通の内部監査業務方針を定め、これに則って各社で三か年の中期計画を立案しております。また、グループ会社との情報交換・合同研修・共同監査・人材交流等の実施等により、内部監査品質の維持・向上に努めております。内部監査の結果は、原則月次で監査等委員会に報告するとともに、四半期毎に代表取締役および取締役会に報告する体制としております。なお、グループ監査部には、公認内部監査人等の専門資格を有する人材が複数名在籍しており、同部の責任者の人事については、取締役は監査等委員会と事前に協議を行うべきこととしております。

監査等委員会監査体制

監査等委員会は、監査等委員(常勤)2名、監査等委員(独立社外取締役)4名の6名で構成されております。なお、監査等委員(独立社外取締役)のうち1名は、2024年6月21日に開催いたしました第20回定時株主総会におきまして、新たに選任されております。また、取締役(監査等委員である取締役を除く。)、執行役員及び使用人等からの情報収集及び重要な会議への出席並びに内部監査部門等との十分な連携を通じ、監査・監督機能の実効性を強化するため、常勤の監査等委員2名を選定しております。監査等委員会は監査等委員全員が参加し、月次の取締役会に先立ち開催するほか、必要に応じ随時開催することとしており、2023年度においては、合計12回開催いたしました。
月次の監査等委員会では、内部監査部門からの監査報告、常勤監査等委員からの経営会議その他の重要会議の報告、グループ法務コンプライアンス部からの半期毎の内部通報制度の運用状況報告及び財務部からの四半期毎の決算報告を受け、加えてグループCFO及びコーポレート統括執行役員との定期的な意見交換や指名報酬諮問委員会の審議の報告の聴取とその内容の確認等も行うことで、毎回概ね3時間程度を要しております。
また、当社は、監査等委員会の職務を補助するため監査業務室を設置して、専属のスタッフを配置し、監査実務の実効性を高める施策を講じております。

実績

2024年3月期会議開催

会議体 回数 会議体 回数
取締役会 13 予算委員会 9
監査等委員会 12 リスクマネジメント委員会 7
指名報酬諮問委員会 7 サステナビリティ委員会 3
経営会議 46 DX戦略委員会 12

報告対象範囲:野村不動産ホールディングス

取締役会・監査等委員会出席率

2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期
取締役会(%) 100 99.6 99.4 100
うち社外取締役(%) 100 99.0 98.2 100
監査等委員会(%) 100 100 100 100
うち社外監査等委員(%) 100 100 100 100
指名報酬諮問委員会(%) 100 100
うち社外取締役(%) 100 100

報告対象範囲:野村不動産ホールディングス

2024年3月期開催の取締役会・監査等委員会における社外取締役の出席状況

取締役会 監査等委員会
髙倉 千春 10/10回 -
茂木 良夫 13/13回 12/12回
宮川 明子 13/13回 12/12回
高橋 鉄 13/13回 12/12回

2023年6月23日の取締役就任以降、当事業年度に開催された取締役会の回数を記載しております。


詳しくはESGデータ集(ガバナンス)をご覧ください

会計監査の状況

1.監査法人の名称
EY新日本有限責任監査法人
当社は会社法に基づく会計監査人として同監査法人を選任しています。

2.継続監査期間
2004年6月以降

3.業務を執行した公認会計士
指定有限責任社員 業務執行社員 公認会計士 森重 俊寛
指定有限責任社員 業務執行社員 公認会計士 佐藤 賢治
指定有限責任社員 業務執行社員 公認会計士 八幡 正博
同監査法人は、業務執行社員について、継続監査期間として7会計期間(上場会社の筆頭業務執行社員は5会計期間)を超えて当社の会計監査に関与することのないよう措置をとっています。

4.監査業務に係る補助者の構成
公認会計士8名 公認会計士試験合格者等8名 その他13名

5.監査法人の選定方針と理由
監査等委員会は、監査等委員会が定めた規程、会計監査人の評価及び選定に関する基準に基づき、監査法人を選定しています。
監査法人が会社法第340条第1項各号のいずれかに該当すると認められる場合には、監査等委員全員の同意により解任します。その他、監査法人の会計監査人としての適格性、独立性を害する事由の発生により、適正な監査の遂行が困難であると認められる場合には、監査等委員会は、会計監査人である監査法人の解任又は不再任並びに新たな会計監査人の選任を株主総会に提案します。
監査等委員会は、会計監査人の評価、選任手続の適正性を確保し、かつ、新たな会計監査人の選任を必要とする場合に備え、定期的に複数の大手監査法人より会計監査にかかる業務提案を求め、面談、質問等を通じ、監査法人の品質管理体制や独立性及び監査の実施体制等並びに監査報酬見積額等に着目して、各業務提案を評価しています。

6.監査等委員会による監査法人の評価
監査等委員会は、毎年、会計監査人から必要な資料を入手し、かつ報告を受けたうえで、その職務遂行状況(従前の事業年度における職務遂行状況を含む)を勘案し、監査法人及び担当監査チームにつき、再任の適否について審議し、決定するものとしています。
現在の会計監査人につきましては、会計監査人の評価及び選定に関する基準に基づき、監査法人の品質管理の状況、担当監査チームの独立性や職業的懐疑心の発揮の状況、監査報酬等の適切性、経営者や監査等委員会とのコミュニケーションの有効性、不正リスクへの対応等の観点から評価を行い、再任することが適当であると判断しています

コーポレート・ガバナンス体制

コーポレート・ガバナンス体制図(2024年6月現在)

コーポレートガバナンス体制について

統合レポート2024