生物多様性
ガバナンス
戦略
背景・ねらい
- 気候変動の次の世界共通課題として注目され、すでに国連等でのガイドライン策定作業・法制化の検討が行われている
- 国内の森林循環を回復し、多様な生物が生息できる都市緑化や森林整備を通じた自然環境の保全を目指す
戦略やビジネスモデル・バリューチェーンへの影響
当社グループは、LEAPアプローチにもとづき、ビジネスモデルを踏まえた上で、バリューチェーンにおける上流に該当する住宅・都市開発部門の「用地・物件取得、資産調達」「商品企画・設計」「事業推進」および直接操業に該当する「保有(運営・賃貸)」が、自然資本との関係の度合いが相対的に高い(中程度以上)と判断し、分析・評価を実施しています。また、本プロセスを通じて、特に注意を払うべきエリアの選定も実施しています。
なお、自然への依存・インパクトを分析した上で、それらが当社グループにとってどのようなリスク・機会をもたらしうるかを検討し、リスク・機会をとらえる戦略と施策を検討・実施しています。
詳細は、TNFDレポートをご覧ください。
シナリオ分析
生物多様性方針
国際的な要求への対応及びネイチャーポジティブの実現に向けた行動を促進するため、各事業活動の指針として「野村不動産グループ生物多様性方針を策定しています。
本方針の策定にあたっては、グローバルで先進的な視点を考慮した内容とするため、国際的なNGOである公益財団法人世界自然保護基金ジャパンの監修を受けています。
生物多様性に関するイニシアチブへの参加
経団連生物多様性宣言イニシアチブ
当社グループは、2020年3月期に「経団連生物多様性宣言イニシアチブ」への賛同を表明しました。生物多様性への取り組みは、不動産開発や街づくりに携わる当社グループにとって重要な経営課題と考え、自然環境や生態系へ配慮した取り組みを推進していきます。

自然関連財務情報タスクフォース(TNFD)フォーラム
当社グループは、「自然関連財務情報開示タスクフォース(Task force on Nature-related Financial Disclosure:TNFD)」の理念に賛同し、2022年7月にTNFDフォーラムへ参画しました。TNFDは、2019年世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で着想され、国連環境計画金融イニシアチブ(UNEP FI)、国連開発計画(UNDP)、世界自然保護基金(WWF)、イギリスの環境NGOグローバルキャノピーにより、2021年6月に設立された国際的な組織です。当社グループは、TNFDフォーラムへの参画を通じ、今後もあらゆる事業活動において生物多様性への影響を把握し、その保全・再生に向けた取り組みを推進していきます。

生物多様性のための30by30アライアンス
30by30(サーティ・バイ・サーティ)とは、2030年までに生物多様性の損失を食い止め、回復させる(ネイチャーポジティブ)というゴールに向け、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする目標です。30by30目標達成に向け、今後日本として現状の保護地域(陸域約20%、海域約13%)の拡充とともに、民間等によって保全されてきたエリアをOECMとして認定する取り組みを進めるため、環境省を事務局とする「生物多様性のための30by30アライアンス」が発足しています。野村不動産ホールディングスは、2022年7月に同アライアンスに参加しています。

事業ごとのリスク評価
新規事業開発において
新規開発事業を行うに当たっては、必要に応じて開発敷地内の生物調査をし、リスク評価を実施し、回避策を取っています。リスク評価結果をもとに、必要に応じて保存・移植・保全等で対応し、定期的なモニタリングおよび報告等を行っています。大規模開発等においては、環境アセスメントを行い、従前の自然環境を損なわないような開発を実施しています。なお、調達ガイドラインを策定し、原材料調達において、生物多様性保全と資源の持続可能な利用に配慮しています。その上で、野村不動産の住宅事業および都市開発事業は、住宅事業(分譲・賃貸)、健康増進型・賃貸シニアレジデンス(オウカス)、都市開発事業(ビル事業・物流事業)における、生物多様性保全の取り組みを示す「Link NATURE Action」を策定し、以下の取り組みによって影響の最小化を推進しています。
「Link NATURE Action」のもとで行う具体的な取り組み内容
1.原則、行政で定められた緑化基準×110%以上の緑化計画とする
2.地域に根差した在来種を 60%以上採用する植栽計画とし、エコロジカルネットワークに貢献する
3.木材を活用した建物計画を推進する
4.原則、大規模物件において、生物多様性認証取得する
また、奥多摩町にて保有している森林では、5カ年の森林経営計画やリスク管理マニュアルを策定し、当社独自の生物多様性に配慮した管理を行っています。
ENCOREを用いた評価分析
ENCOREを用いた依存・インパクト評価の結果、特に「陸域生態系の利用」によるインパクトが大きいと確認されました。土地や海域の利用変化による損失や汚染を引き起こすことがないよう、今後も適宜対応してまいります。
設計・施工、原料調達において
指標と目標
目標・KPIと実績データ
| 項目 | 2030年目標 | 単位 | 2022年3月期 実績 |
2023年3月期 実績 |
2024年3月期 実績 |
2025年3月期 実績 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| KPI木質化建物の開発による炭素貯蔵量※1、2 | 10,000 | t‐CO2/年 | 2023年度に目標設定した為、同年度実績より開示予定 | 15,700 | 14,839 | |
| KPI生物多様性に関する認証取得(ABINC/JHEP/SEGESなど)取得数 | ー | 件 | 3 | 1 | 1 | 8 |
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※1林野庁の木材炭素貯蔵量計算ガイドラインに基づき概算で算出
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※2木材使用量16,500m3はスギ丸太約50,000本、スギ人工林約65haに相当、炭素貯蔵量10,000t-CO2と試算
取り組み
生物多様性認証の取得
当社グループは、新築および保有する不動産において、生物多様性に配慮した緑地づくりなどに取り組む集合住宅やオフィスビルなどを評価・認証する「ABINC 認証(いきもの共生事業所®認証)」※1、「JHEP(ハビタット評価認証制度)」※2、「SEGES(社会・環境貢献緑地評価システム シージェス)」※3などの生物多様性認証の積極的な取得を目指しています。前年度は8物件のABINC認証を取得し、生物多様性に配慮した緑地づくりへの貢献を積極的に行ってまいりました。「プラウドシティ所沢」では、地域に根差した植栽計画や、レインガーデンには雨水を利用したバードパスを計画しました。「プラウドシティ国立」では、既存樹の移植による未来への継承や、雑木林の生態系を交えた緑豊かな植栽計画としました。今後も自然との共生を目指した不動産開発に努めます。
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※1「ABINC 認証(いきもの共生事業所®認証)」
(一社)企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB)が作成した「いきもの共生事業所®推進ガイドライン」に基づき、生物多様性に配慮した緑地づくりなどに取り組む集合住宅やオフィスビルなどを評価・認証する制度 -
※2「JHEP(ハビタット評価認証制度)」
(公財)日本生態系協会が運営し、生物多様性の保全や回復に資する取り組みを定量的に評価、認証する制度 -
※3「SEGES(社会・環境貢献緑地評価システム シージェス)」
(公財)都市緑化機構が運営し、企業緑地の保全、環境コミュニケーションから生まれる社会・環境機能の価値を総合的かつ客観的に評価する「緑の認定」制度
| 認証取得年度 | 認証取得施設・マンション |
|---|---|
| 2015年3月期 | 横浜ビジネスパーク(都市・SC版) |
| 2016年3月期 | プラウド国分寺(集合住宅版) |
| 芦花公園ザ・レジデンス※1(集合住宅版) | |
| プラウドシティ武蔵野三鷹(集合住宅版) | |
| 2018年3月期 | プラウドシティ吉祥寺※1(集合住宅版) |
| プラウドタワー武蔵小金井クロス※1(集合住宅版) | |
| プラウドシーズン稲城南山(戸建住宅団地版) | |
| 名古屋市西区則武新町3丁目計画※1(集合住宅版) | |
| 2019年3月期 | HARUMI FLAG※1 〔ABINC ADVANCE認証※2取得〕 |
| ザ・ガーデンズ 大田多摩川※1(集合住宅版) | |
| 2021年3月期 | プラウドタワー目黒MARC(都市・SC版) |
| 南山クラブハウス(戸建住宅団地版) | |
| 2022年3月期 | プラウドシティ武蔵野三鷹 (集合住宅版)(更新) |
| プラウドシティ小竹向原(集合住宅版) | |
| 2023年3月期 | プラウド等々力ガーデンコート(集合住宅版) |
| 2024年3月期 | BLUE FRONT SHIBAURA |
| 2025年3月期 | 所沢市北秋津上安松計画(プラウドシティ所沢) |
| 国立富士見台団地建替え(プラウドシティ国立) | |
| 葛飾区青戸四丁目(プラウド青戸) | |
| 世田谷区成城九丁目計画 | |
| 東灘区住吉本町Ⅳ計画 | |
| 東京大学西千葉キャンパス跡地利用計画(西千葉RESIDENCE AVENUE) | |
| 門前仲町開発計画 | |
| オウカス浦和針ケ谷 |
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※1複数業者での申請
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※2ABINC ADVANCE認証:広域かつ長期にわたる事業を対象とした認証
BLUE FRONT SHIBAURA
周辺環境への配慮
当社グループは、不動産事業や街づくりにおいて、お客さまや地域の皆さまの快適性だけでなく、周辺環境や生態系に配慮した配棟計画や植栽計画を実施しています。事業担当者に対して、住宅事業で「環境&商品計画シート」、都市開発事業では「サステナビリティ評価シート」の提出を、原則としてすべての開発物件へ義務付けることで、生物多様性への配慮についても評価に含めています。
「環境&商品計画シート」上の評価ポイント例
- 生物多様性認証取得有無
- 樹木選定の工夫と配慮(既存樹活用など)
- 沿道・周辺の景観への配慮と工夫(沿道並木との連続性など)
- 屋上緑化・壁面緑化
国産木材の活用
農林水産省との「建築物木材利用促進協定」を2022年3月9日に三者間で締結しました。これにより、今後5年間で10,000㎥の木材を当社の建築資材として活用することを目指します。国内木材のサプライチェーンを構築し、森林資源の循環利用を促進、森林資源の活用と保全を両立していきます。取得した木材は、戸建事業の資材として利用してまいります。2025年3月期においては、1,435㎥を利用いたしました。
加えて、違法伐採による生態系のバランスの崩壊や地域社会への影響等のリスクを低減するため、「野村不動産グループ 調達ガイドライン」を策定し、取引先に対し資源の持続可能な利用および木材使用を要請し、国産・認証木材の活用も積極的に進めています。
分譲マンション「PROUD(プラウド)」では、共用部の内装に原則国産木材を使用することとし、オフィスビルブランド「H¹O(エイチワンオー)芝公園」、および「野村不動産溜池山王ビル」で木造ハイブリッド構造を導入しました。
国産木材の活用は、お客さまにより快適な住環境を提供するのみならず、建設時のCO₂の削減、森林サイクル保全による自然災害の防止にもつながっています。

「森を、つなぐ」東京プロジェクト~事業を通した自然と都市の共生への挑戦~
当社グループは、主要事業エリアである東京において、自然と都市の共生を目指す、「森を、つなぐ」東京プロジェクトを始動しました。当社グループが奥多摩町内に保有する「つなぐ森」は、多様な生物の生息や、生態系管理等が評価され、「自然共生サイト※1」にも認定されました。生態系及び重要種の保全に向けた取り組みを推進する他、生態系サービスの提供等によるネイチャーポジティブへの貢献を通じ、他地域にも展開可能なモデルケース化へ挑戦します。
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※1環境省が、民間との取り組み等により生物多様性の保全が図られている区域を認定する制度

横浜ビジネスパークにおける「ホタル観賞館」イベントの実施
当社グループは、保有するオフィスビル・商業施設「横浜ビジネスパーク(YBP)」(神奈川県横浜市)にて、生物多様性への理解を深める「ホタル観賞館」の展示を2008年より毎年実施しています。(2021年3月期・2022年3月期・2023年3月期については、新型コロナウイルス感染症対策の関連で未実施)。生物多様性や環境問題について地域の皆さまと共に考え、学ぶ場として活用していただいています。
なお、当ビルは、生物多様性保全に配慮したオフィスビルとして、ABINC(一般社団法人いきもの共生事業推進協議会)の「いきもの共生事業所認証[都市・SC版]」を取得しています。

