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人権

方針

当社グループは下記の国際文書に基づいた人権方針を策定しています。

  • 「国際人権章典」(「世界人権宣言」、「市民的及び政治的権利に関する国際規約」「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」)
  • 「労働における基本的原則及び権利に関する ILO 宣言」
  • 「国連グローバル・コンパクトの 10 原則」
  • 「子供の権利とビジネス原則」
  • 「ビジネスと人権に関する指導原則」

国際規範に従い、児童労働・強制労働・人身取引への加担などは行いません。

戦略

背景・ねらい

  • 事業を通じた人権問題への取り組みは社内外の関心・期待が高まっている
  • 特に人や街・コミュニティを未来へつなげていく企業グループとして、あらゆる人がウェルネスを実感できる持続可能な社会を実現する責任がある
  • 従って、あらゆる人の尊厳と基本的人権を尊重して行動することが、当社グループの事業活動における不可欠の前提である
  • その上で、人権が尊重される環境づくりや適正な労働環境の普及、サプライチェーン全体での人権配慮の推進を通じて、ステークホルダーとともに持続可能な社会の実現と当社グループの持続的な成長と価値創出を目指す

ビジネスモデルやバリューチェーンへの影響

当社グループでは人権方針策定時に、バリューチェーン全体の人権リスクについて調査しました。
「潜在的な人権への影響の深刻度(規模・範囲・是正困難度の3要素で構成)」「人権への影響が生じる可能性(国別状況・業界状況の2要素で構成)」の2軸で行った調査により、海外事業および外国籍労働者の雇用の場面でリスクを認識しています。
加えて、2026年3月期には事業領域の拡大に合わせて、事業特性やサプライヤー業種、国内外の事業環境ごとに人権リスクを再評価しました。特にサプライチェーン上の人権については、サプライヤー業種ごとのリスク特性を整理し、業種別のリスク評価を実施しています。業種ごとに異なる人権リスクをより正確に把握することで、実態に即した人権デュー・デリジェンスの推進につなげています。

リスク 機会
  • すべての役職員の基本的人権の尊重、ハラスメントの防止、働きやすい労働環境の整備が不十分な場合に、人材の定着や従業員エンゲージメントの低下を招き、事業運営に影響を及ぼす可能性がある
  • サプライヤー、ビジネスパートナーにおいて「人権方針」「調達ガイドライン」に反する行為が発生した場合、サプライチェーンの強靭性や信頼性の低下を招くおそれがある
  • さまざまなステークホルダーの人権を尊重し、適正な労働環境の整備やサプライチェーン全体での人権配慮を推進することは、人権尊重の実現と適正な労働環境の普及につながるとともに、当社およびステークホルダー双方の持続可能性の向上に寄与する

指標と目標

目標・KPIと実績データ

項目 2030年目標 単位 2026年3月期実績
KPI人権デューデリジェンスの体制構築 年度毎に目標設定 ー
  • ①
    社内:外国籍従業員の労働環境改善
  • ②
    社外:サプライヤーの技能実習生就労実態調査
  • ③
    海外事業における人権リスク把握に向けた海外拠点現地実査
  • ④
    人権相談窓口の運用継続
KPI人権関連研修参加率 100 %

100※1

  • ※1
    グループ合同で実施したオンライン研修「人権・D&I 研修」の参加率

2030年までの重点課題(マテリアリティ)に関する計測指標(KPI)

その他実績データ

項目 単位 2023年3月期
実績
2024年3月期
実績
2025年3月期
実績
2026年3月期
実績
人権関連研修(グループ合同) 新入社員 参加率 % 100 100 100 100
参加者数 人 263 304 348 386
新任マネジメント(基幹)職 参加率 % 100 100 100 100
参加者数 人 168 217 220 217
キャリア入社 参加率 % 100 100 100 100
参加者数 人 262 269 326 270

ESGデータ集(社会)

取り組み

人権デュー・デリジェンスによる課題特定

当社グループの事業活動および取引関係により当社の事業、商品、サービスに直接関係する人権への負の影響を特定し、それらを防止および軽減させることを目的に、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づく、人権デュー・デリジェンスを推進しています。

人権に関するこれまでの取り組み

時期 主な取り組み内容
2021年3月期
  • 人権に関する国際規範に則った活動を強化・推進していくために、人権分科会を発足し、人権方針の策定等を開始
  • 主要サプライヤー10社を対象としたサステナビリティに関するモニタリング面談を実施
2022年3月期
  • 「野村不動産グループ人権方針」を策定・公表
  • 当社グループにおける顕著な人権課題を特定
  • 当社グループ内における人権課題の現状把握を目的にグループ全体のデスクトップ調査を実施
  • 比較的人権リスクが高い事業として、施設運営・管理業、ホテル業、海外事業(当社グループの日本法人6社、ベトナム法人1社の計7社)に対してヒアリングおよびアンケートにて詳細調査を実施
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4つの優先課題の特定
  • ①
    従業員のウェルネスと人権 
  • ②
    海外事業・外国人労働者
  • ③
    サプライチェーン上の人権 
  • ④
    救済措置
2023年3月期
  • ウェルネス、D&I推進委員会を中心に各種施策実施(有給休暇取得促進などの施策実施)
  • 海外事業におけるプロジェクト評価基準に人権要素を組入れ
  • 社内における人権リスク確認チェックリスト作成
  • サプライヤー向けの外国人技能実習生雇用状況ヒアリングシート作成&配布
  • 海外拠点勤務者向け内部通報制度の改修と周知
  • 優先的に取り組む課題に関する3年間のロードマップ策定
2024年3月期
  • ウェルネス、D&I推進委員会を中心に各種施策実施(1on1ミーティング実施率向上などの施策実施)
  • 人権要素を組み入れた海外プロジェクト評価基準を運用開始
  • 人権リスク確認チェックリスト運用開始&一部事業会社へ直接ヒアリング
  • 外部コンサル会社同席によるサプライヤー直接面談を実施
2025年3月期
  • 「人材・ウェルネス・D&I委員会」を中心に各種施策実施(インクルーシブデザインの認知度向上などの施策実施)
  • 国別の人権リスク把握のため海外拠点(ベトナム)における現地実査を実施
  • 人権要素を組み入れた海外プロジェクト評価基準に基づくデスクトップ調査を実施
  • 木材調達におけるトレーサビリティ体制構築の検討開始
  • 野村不動産グループ人権相談窓口の新設、運用開始
  • 3年間の取り組みロードマップの更新
2026年3月期
  • 「人材・ウェルネス・D&I委員会」を中心に各施策を実施(障がい者の方々の活躍を目指し野村不動産において「インクルーシブセンター」を設置し運用を開始
  • 浜松町ビルディング内装解体現場において、一次サプライヤーおよび二次以降のサプライヤーと連携した現場実査を実施
  • 国別人権リスク把握を目的として、タイにおける海外拠点・建設現場実査を実施
  • IOM、ILO、OHCHR等とのエンゲージメントを実施
  • 「野村不動産グループ 木材調達ガイドライン」の策定、運用開始
  • サプライヤー業種別リスク再評価

人権デュー・デリジェンスの対象

対象事業 不動産開発事業、不動産運営事業(特に、ホテル事業における運営)、海外事業(特にベトナム、タイ、フィリピン)
対象者 当社グループ従業員(特に外国籍従業員)
サプライヤーの従業員(特に外国人技能実習生)
顧客、近隣住民
人権リスク指標
  • ①
    児童労働
  • ②
    強制労働および人身取引
  • ③
    あらゆる差別
  • ④
    ハラスメント
  • ⑤
    適正な労働環境
  • ⑥
    適正な労働条件
  • ⑦
    顧客・利用客等の生命・健康
  • ⑧
    近隣住民等の生命・健康
  • ⑨
    用地取得の経緯
  • ⑩
    プライバシー

人権課題への対応計画(3カ年ロードマップ)

2022年3月期までに実施した人権リスク評価に基づき、「従業員のウェルネスと人権」「海外事業・外国籍労働者」「サプライチェーン上の人権」「救済措置」の4つを優先課題として特定し、2023年3月期から2025年3月期までを対象とした3ヵ年ロードマップを策定し、人権デュー・デリジェンスに取り組みました。
その後、2025年3月期に初回ロードマップの最終年度を迎えたことから、これまでの取り組み状況に加え、外部環境や社会情勢の変化、海外拠点における実地調査結果などを踏まえ、人権課題の再評価を実施しました。

再評価にあたっては、人権課題を対象者別に再整理するとともに、社内外のステークホルダーとの意見交換を通じて課題認識と現場実態との整合性を確認しました。その結果を踏まえ新たな3ヵ年ロードマップを策定しています。現在は、2026年3月期より運用を開始した新たな3ヵ年ロードマップに基づき、人権デュー・デリジェンスを推進しています。

人権リスクマップ

新たな3ヵ年ロードマップの運用開始後も、人権課題の評価および見直しを継続的に実施しています。2026年3月期は、ロードマップ初年度の取り組み結果や社会環境の変化を踏まえ、人権リスクマップを更新しました。
今後も定期的な評価・見直しを行い、人権課題への対応の高度化を図るとともに、人権リスクの予防・低減と適切な事業活動の推進に取り組んでいきます。

人権課題に関する対話とエンゲージメント

当社グループは、人権課題に対する理解を深め、課題認識と現場実態との整合性を確認するため、社内外のステークホルダーとのエンゲージメントを実施しています。

建設・不動産『人権デュー・ディリジェンス推進協議会』を通じた業界連携

当社グループは、サプライヤーであるゼネコン3社および不動産ディベロッパー6社(当社含む)の計9社による建設・不動産『人権デュー・ディリジェンス推進協議会』に参加しています。
当会は、「ビジネスと人権に関する指導原則」が企業に求める「他者の人権を侵害することを回避し、関与する人権への負の影響を防止・軽減・是正する措置を講じる」責任を果たすために発足されました。
同業他社および主要サプライヤーであるゼネコンと連携を通じて、サプライチェーン全体における強制労働をはじめとする人権侵害の予防・軽減と、人権デュー・デリジェンスの高度化に取り組んでいます。

ニュースリリース

人権課題に関する意見交換

当社グループは、建設・不動産『人権デュー・ディリジェンス推進協議会』等を通じ、NGOや弁護士などとの対話を実施しています。
加えて、2026年3月期は、海外拠点における人権デュー・デリジェンスの一環として実施した現地実査においては、国際移住機関(IOM)タイ事務所・フィリピン事務所、国際労働機関(ILO)タイ事務所、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)などとのエンゲージメントを実施し、地域特有の人権課題に関する意見交換を行っています。
これらの対話を通じ、アジア太平洋地域における強制労働や労働環境に関する課題について意見交換を行い、外国籍従業員に係る人権リスクや育成就労制度への移行に関する示唆を得ました。これらを踏まえ、今後の活動や計画に反映することで、国際規範に基づく適切な事業活動を推進していきます。

従業員のウェルネスと人権

ウェルネス経営の推進

海外事業・外国籍労働者

海外事業における人権リスクの把握と対応

当社グループでは、海外事業における人権リスクへの対応として、国際法と現地法が矛盾する場合、国際法を優先する旨を契約書に反映するなどの取り組みを行っています。また、外国籍従業員採用時における人権チェックシートを運用しています。

加えて、重点テーマである「海外事業・外国籍労働者」において、2026年3月期は、主に以下2つの人権デュー・デリジェンスを実施しています。

  • ➀
    海外事業における国別リスク把握を目的として、タイを訪問し、現地法人およびパートナー企業との連携による建設現場実査
  • ➁
    海外プロジェクト評価基準に基づくベトナムにおけるデスクトップ調査

上記➀および②のアセスメントにおいては、現時点で重大な人権リスクは確認されませんでした。今後も国別リスクの把握を深めるとともに、対象国の範囲拡大を図るため、当社グループが事業を展開する各国において実地調査を実施し、海外事業における人権リスクの予防・低減を図るとともに、責任ある事業活動の実現に取り組んでいきます。

外国人技能実習生の受け入れとコミュニケーション

当社グループの野村不動産パートナーズは、インドネシア、ベトナム、フィリピン、ミャンマーから外国人技能実習生を受け入れています。実習生たちが安心して仕事に取り組めるよう、労働環境の整備、安全基準の徹底に加え、適切な生活環境の提供などに配慮し、受け入れを行っています。受け入れた技能実習生に対しては、上長との定期的な面談の機会(ラインケア)に加え、環境衛生統括部採用研修課スタッフや特定技能(当社技能実習生を満了した者)による実習生寮巡回・生活支援・メンタルケアなどのサポート体制を設け(スタッフケア)、実習生個々の意見・要望・相談・悩み事の吸い上げを行っています。また、日本語勉強会(週1)・日本文化体験(毎月)・交流会(年1)を行っています。
今後は、受け入れのさらなる拡大を検討しており、技能実習生の人権に一層配慮した対応とコミュニケーションが不可欠と認識しています。

日本文化体験会の様子

BBQ風景(交流会)

サプライチェーン上の人権

サプライチェーンにおける人権リスクの把握と対応

当社グループは、サプライチェーンにおける人権課題への対応を目的として、取引先に「調達ガイドライン」を配布し、人権尊重への理解と取り組みを要請しています。 2026年3月期は、外国人技能実習生に関する項目を含むアンケートを主要サプライヤー約300社に実施し、163 社(調達金額総額のうち、主要サプライヤーからの調達金額が占める割合:56.4%)から回答を得ました。回答結果を踏まえ、約10社を対象にモニタリング面談や勉強会を実施し、人権リスクの低減や社内体制整備を支援しています。

過去5回のアンケート調査を通じて、一律の管理手法では業種ごとの人権リスクを十分に把握できない可能性があると認識したことから、2026年3月には事業特性やサプライヤー業種の特性を踏まえた人権リスクの再評価を実施しました。

サプライヤー業種別人権リスク評価結果

人権リスク指標 建設・専門工事 廃棄物処理 不動産管理運営
(清掃など)
資機材製造・
加工
人材仲介 原材料生産
①児童労働 ● ● ● ●
②強制労働および人身取引 ● ● ● ● ●
③あらゆる差別 ● ● ● ● ● ●
④ハラスメント ● ● ● ● ● ●
⑤適正な労働環境 ● ● ● ● ● ●
⑥適正な労働条件 ● ● ● ● ● ●
⑦顧客・利用客などの生命・健康 ●
⑧近隣住民などの生命・健康 ● ● ●
⑨用地取得の経緯 ● ● ●
⑩プライバシー
  • ※
    ●は相対的にリスクの高い項目

評価の結果、業種によって想定される人権リスクが異なることを確認しました。今後は当該再評価を踏まえ、業種ごとのリスク特性に応じたアンケート設計、モニタリングやエンゲージメントを実施することで、人権デュー・デリジェンスの高度化を検討していきます。
また、サプライヤー約150社を対象に人権デュー・デリジェンスの重要性および調達ガイドラインに関する勉強会を開催し、人権課題への理解促進と意識向上を図りました。
今後は対象範囲を拡大しつつ、人権デュー・デリジェンス体制のさらなる高度化を図り、サプライチェーン全体での人権課題に取り組んでいきます。

リスクレベルに応じたエンゲージメントの推進

救済措置

苦情処理メカニズムの整備

当社グループは、雇用形態に関わらず、すべての従業員が利用できる人権問題の複数の相談窓口に加え、お取引先様から当社グループの従業員による人権侵害など倫理規程に抵触する恐れのある行為について通報いただく窓口を設置しています。
これらの相談窓口に通報・相談が寄せられた際には、匿名で通報を受け付けるとともに、秘密を厳守します。また、調査の結果、明らかに人権の尊重に対する違反行為がある事案に関しては、加害者に対し、しかるべき措置をとるとともに、被害者や、通報者が通報を理由に不利な取り扱いを受けないよう、保護しています。
このように、複数の相談窓口を設けることにより、相談しやすい環境を整え、問題の早期発見と解決、再発防止策に取り組んでいます。
相談窓口では、半期ごとにリスクマネジメント委員会、法令違反・不正に関するものはリスクマネジメント委員会に加えて監査等委員会に報告を行い、経営層が相談窓口の運用状況のモニタリングを行っています。
なお、2026年3月期の差別やハラスメントに関わるものとしてグループ窓口への相談件数は86件で、事実について調査を行い、適宜対応を行いました。
今後、相談窓口の実効性を向上させるために、体制面の強化等を図っていく予定です。

人権に関する相談窓口

窓口 対象者 概要
人権・ハラスメント相談窓口 社内・
社外
グループ役職員 人権・ハラスメントに関する相談受付窓口
野村不動産グループ・ヘルプライン 社内
(国内)
グループ役職員(相談等の日から1年以内にグループ各社に所属していた者) 業務上の法令・社規社則・運用ルール等に関する違反行為、不正行為等に関する相談または通報受付窓口
野村不動産グループ・グローバルヘルプライン 社内
(海外)
グループ海外現地法人に直接採用された役職員 業務上の法令・社規社則・運用ルール等に関する違反行為、不正行為等に関する相談または通報受付窓口
野村不動産グループ人権相談窓口 社内
(国内)
ステークホルダーの皆様 当社事業に関わるステークホルダーの皆様に向けた人権に関する相談窓口

野村不動産グループ・ヘルプライン

グループ役職員への人権研修

階層別研修

当社グループは、人権の尊重に対する理解を深めるために、階層別研修などの機会を利用し、人権に関する教育を行っています。2026年3月期に実施した、グループ社員を対象とした人権関連研修(Eラーニング研修)の参加率は100%でした。
あわせて、「LGBTQ+」※に対する理解と職場における対応に関する項目も記載しています。

  • ※
    LGBTQ+:レズビアン(Lesbian)、ゲイ(Gay)、バイセクシュアル(Bisexual)、トランスジェンダー(Transgender)、クエスチョニング(Questioning)、これらに当てはまらない「+」の頭文字をとったセクシュアルマイノリティの総称