気候変動への対応

考え方・方針

野村不動産グループは、土地やその他の天然資源、エネルギーを利用して事業活動を行っており、気候変動は当社グループの事業継続に大きな影響を及ぼす重要な経営課題であると認識しています。
気候変動による自然災害の発生や環境規制の強化は、事業の継続を困難にし、資材調達・建築費用の増加につながるだけでなく、電気代や保険料などの運用コストも増大させる可能性があり、社会全体に大きな影響を及ぼします。一方で、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)など低炭素・脱炭素型の商品・サービスは新たな事業機会につながります。
当社グループは、このような認識のもと、ステークホルダーの皆さまと協働し、サプライチェーン全体で、エネルギー消費量・CO2排出量の削減や再生可能エネルギーの活用を進めていきます

マネジメント

マネジメント体制

当社グループでは、野村不動産ホールディングス代表取締役副社長 兼 グループCOOが責任者となり、グループ全体で気候変動への対応を進めています。
また、野村不動産ホールディングスおよびグループ会社の取締役などで構成される「CSR委員会」(委員長:野村不動産ホールディングス代表取締役副社長 兼 グループCOO)にて、関連方針や活動計画を審議し、決定しています。同委員会では、気候変動への対応についての目標を設定し、進捗状況のモニタリングをしています。

目標

当社グループでは、気候変動への対応を進めるために、次の3つの目標を掲げています。

・CO2排出量の削減
保有する不動産および事業拠点における床面積当たりのCO2排出量(Scope 1・2)を、2030年までに、
2013年度比で30%削減(2019年3月決定)

Scope:企業によるCO2排出量の算定・報告の対象範囲
Scope 1:燃料の燃焼などの直接排出量
Scope 2:自社で購入した電気・熱の使用に伴う間接排出量
Scope 3:Scope 1・2以外の間接排出量。販売した製品の使用、廃棄物、従業員の通勤や出張など

・エネルギー使用量の削減
・太陽光発電の促進

気候変動に関する戦略(リスクと機会)

当社グループは、気候変動に関する政府間パネル(IPCC第5次報告書)およびパリ協定による合意内容を踏まえ、2℃シナリオ(および1.5℃シナリオ)を参照しつつ、当社グループにとっての「リスク」と「機会」を分析し、CO2排出量のグループ目標を設定しています。

【リスク】
・市場:お客さまの不動産に対するニーズの変化(中期)
・テクノロジー:CO2削減に関する技術の開発コスト増加(中期)
・物理:豪雨・洪水などの発生増加に伴う建物被害の増加、それに伴う不動産の資産価値・品質の変化(長期)
・評判:ステークホルダーによるESG評価での否定的なフィードバック(短期/中期)

【機会】
・製品とサービス:低炭素型の商品・サービスの開発、お客さまのニーズ拡大(短期/中期)
・資源効率性:エネルギー効率の高い建物・物件の利用(短期/中期)
・エネルギー源:再生可能エネルギー等の利用拡大(短期/中期)
・評判:ステークホルダーからの高いESG評価の獲得(短期/中期)

なお、上記に加え、政策・法規制など、さまざまなリスク・機会を想定しています

気候変動のリスク管理

当社グループでは、リスクの適切な管理・運営を行うために「リスク管理規程」を策定しています。気候変動による事業環境の変化に伴うリスクや、自然災害に伴うリスクについても主要なリスクと特定し、リスクマネジメント委員会で審議、および対応策の協議を行っています。審議内容については、3カ月に1回以上、取締役会に報告し、監督しています。
リスクマネジメント体制の詳細

物理的リスクへの対応

当社グループは、自然災害の増加など気候変動におけるリスクへ適応できるよう、対応を進めています。
不動産開発にあたっては、各自治体が発行する災害予測であるハザードマップを確認し、「品質マニュアル」に基づき集中豪雨対策や浸水対策などを行っています。また、事業継続計画(BCP)に基づき、災害時も被害を最小限に抑え、お客さまの安心・安全の確保を目指します。
なお、分譲住宅購入のお客さまには、ハザードマップを重要事項説明書に添付しています。

ZEHに向けた取り組み

当社グループは、総合的な環境負荷低減の観点から、分譲マンションにおけるZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の開発に取り組んでいます。

※ZEH(ゼッチ)(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス):外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅

当社グループは、分譲住宅・賃貸オフィスなどの設計・施工段階において、環境性能の仕様についても定めた「設計基準」「品質マニュアル」に基づき、環境対応を行っています。
ZEHマンションに向けた取り組み

商品企画・設計時の環境性能評価

当社グループは、分譲住宅・オフィスビル・商業施設・物流施設などの開発にあたり、「設計基準」「品質マニュアル」に基づき、気候変動に対応した商品・サービスの提供を行っています。
分譲マンション「プラウド」では、断熱等性能等級4(最高レベル)、ペアガラス(妻面エコガラス)・LED照明設置などを標準仕様としています。
さらに環境性能向上を目的として、「環境評価&チャレンジシート」を策定し、「断熱・遮熱」「省エネルギー」「自然エネルギー活用」などについて、環境性能評価ポイントを定め、商品企画・設計の際に自社の基準値を上回るようチェックを義務付けています。

※断熱等性能等級:「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく住宅性能表示制度で、「温熱環境」の分野の性能を表す等級

フロン削減

当社グループは、オゾン層の破壊につながるフロンの利用量を削減するため、ノンフロン型の断熱材やノンフロン冷媒のエアコンなどを使用することを「品質マニュアル」に定めています。
また、施工時には、施工会社に「品質管理チェックシート」の提出を義務付け、ノンフロン材を使用していることを確認しています。

高効率電力の調達と供給

当社グループは、高圧一括受電サービスとICT(情報通信技術)を活用し、電力消費のピークを抑制するエネルギーマネジメントシステム「enecoQ(エネコック)」を、分譲マンション「プラウド」で提供しています。
また、グループ内に電力調達会社としてNFパワーサービスを設立し、これまで「enecoQ(エネコック)」で培った需要予測モデルを基に、電力調達を効率的に行っています。

省エネルギー・低炭素へ向けた先進事業と環境認証

当社グループは、省エネルギー・低炭素社会の実現に向けた事業を行い、環境認証の取得を促進しています。

日本橋室町野村ビル「トップレベル事業所」に認定

当グループが開発した「日本橋室町野村ビル」(東京都中央区)は、「地球温暖化の対策の推進程度が特に優れた事業所」として一定の基準に適合した企業が認定される東京都環境確保条例「トップレベル事業所」に認定されています。

特定温室効果ガス年度排出量の第三者機関による検証

当グループが所有(一部共有)をしている「新宿野村ビル」「日本橋室町野村ビル」「野村不動産銀座・新橋演舞場ビル」は、当該ビルにおける温室効果ガス排出量の算定の公平性を担保するために、東京都環境確保条例にて規定された第三者検証機関により、以下の排出量について検証を受けています。

・新宿野村ビル 12,666 t-CO2/年(2017年度)
・日本橋室町野村ビル 4,492t-CO2/年(2017年度)
・野村不動産銀座・新橋演舞場ビル 3,313t-CO2/年(2017年度)

【検証結果報告書】
日本橋室町野村ビル 検証結果報告書(PDF1,381KB)

スマートコミュニティの連携・協力

野村不動産が開発する「プラウドシティ日吉」において、関電不動産開発(株)、パナソニック ホームズ(株)、関西電力(株)、東京ガス(株)とスマートコミュニティの連携・協力に関する協定を2019年2月に結びました。
本計画では、当該エリア内に設置した分散型電源で発電された電力をエリア全体で融通する等、当該エリア全体でのエネルギーマネジメントを通じ、平常時のエネルギー消費量およびCO2排出量の削減を目指します。また、蓄電池や分散型電源を活用することで、一部の施設で災害が発生した際においても電気の使用が可能になります。

「プラウドシティ日吉」パース

再開発事業「HARUMI FLAG」における取り組み

当社グループが開発に加わる晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業「HARUMI FLAG」において、再生可能エネルギーや省エネルギーの取り組み促進が評価され「LEED-ND計画認証 GOLD認証」「SITES予備認証 GOLD認証」を取得しました。「LEED-ND」は、複合的なエリア開発(Neighborhood Development)の計画段階から設計・施工までを評価するもので、世界初の取得となります。

「HARUMI FLAG」パース

再生可能エネルギーの活用

当社グループは、CO2削減への取り組みを推進するために太陽光発電事業による再生可能エネルギーの活用を推進しています。
物流施設「ランドポート」の屋上を活用し、2019年3月現在、累計13棟に太陽光パネルを設置し、ポートフォリオ全体における年間発電量は12,081千kWhでした。

ランドポート高槻

グリーン電力の購入

当社グループは、グリーン電力の購入を行っています。2018年度は、「日本橋室町野村ビル」(東京都中央区)において、年間100万kWhを購入しています。

クレジットの寄付

野村不動産およびNREG東芝不動産は、東京都キャップ&トレード制度にて削減義務量以上のCO2削減を実施し、超過削減量計32,008t(野村不動産12,661t、NREG東芝不動産19,347t)のクレジットを創出しました。そして、CO2を排出しない環境先進都市「ゼロエミッション東京」の実現を目指す東京都の取り組みに賛同し、2019年に当社グループが創出したクレジット32,008tを東京都に寄付しました。
東京都の取り組みに関する内容は、東京都環境局のホームページをご覧ください。
東京都環境局のホームページ

お客さまへの省エネサポート

当社グループは、分譲住宅の居住者やテナント企業の省エネルギー推進をサポートしています。
テナント企業に対しては、エネルギー使用量集計システムや「エネルギー使用量の見える化」を図る監視システムの提供を行い、省エネルギーを推進し、分譲住宅の居住者に対しては、「enecoQ(エネコック)」を活用した省エネルギーの実現や省コスト電力の提供、会員誌でのエコ情報の提供などを行っています。

気候変動に関連するイニシアチブへの参加

当社グループは、関連する国際的なイニシアチブや、業界団体における枠組みに参加し、気候変動への対応に積極的に取り組んでいます。

国連グローバル・コンパクト

当社グループは、国連グローバル・コンパクトに2019年5月に署名しました。同イニシアチブの原則に基づき、気候変動の緩和などの環境課題に対して予防原則的アプローチを支持し、当社グループ一丸となり積極的に環境課題に対し責任を果たしていきます。

不動産協会 「不動産業界における環境自主行動計画」の支持

当社グループは、気候変動への対応の取り組みを進めるため、会員である一般社団法人不動産協会の定める環境行動自主計画を支持し、求められる法令の基準以上のCO2排出量の削減に取り組んでいます。

CDPへの回答

当社グループでは、気候変動への取り組みの推進と情報開示の透明性を高めるため、2019年度よりCDPが実施する「CDP気候変動」調査に回答しています。

CDP:2000年にイギリスで設立されたNGOであり、投資家・企業・都市・国家・地域が環境影響を管理するためのグローバルな情報開示システムを運

実績

推進への取り組み

設定目標に対する2018年度の実績は以下の通りです。

GHG(CO2)排出量実績

GHG(CO2)排出量:総量

2013年度
(基準年)
2014年度 2015年度 2016年度 2017年度 2018年度
GHG(CO2)排出量合計
(千t-CO2/年)
131 131 130 133 140 143
スコープ1 17 18 18
スコープ2 115 122 125
原単位排出量
(t-CO2/m²・年)
0.090 0.089 0.089 0.081 0.088 0.089

※1.現時点において把握可能なものに関して開示しています。
※2.環境関連データに関しては、省エネ法届出対象施設(2018年度は182施設1,609,742㎡)を対象としています。

エネルギー使用量実績

2016年度 2017年度 2018年度
エネルギー使用量
(千kℓ/年)
74 77 77
原単位使用量
(kℓ/m²・年)
0.045 0.048 0.047

※環境関連データに関しては、省エネ法届出対象施設(2018年度は182施設1,609,742㎡)を対象としています。

太陽光発電の促進

2017年度 2018年度
物流施設「ランドポート」における太陽光発電設置率 93% 93%
物流施設「ランドポート」における太陽光発電量 11,550千kWh/年 12,081千kWh/年

※2017年度の太陽光発電設置率を修正しております。