住み継がれてきた街を、次世代へ。

※この記事は、2015年に作成しました。

幅広い視点から求められる、サステナブルな街づくり

人口減少が進むなかで日本社会が活力を維持するためには、首都圏への一極集中を避け、国内各地で都市機能の充実を図る必要があります。また、地震をはじめとした災害への対策や、高度成長期に集中的に建設された既存インフラの老朽化対策としても、都市の再整備に向けた動きが加速しています。こうした再開発事業にあたっては、それぞれの地域で培われてきた“街本来の魅力”を活かしながら、ライフスタイルの多様化を踏まえた快適性の向上や、子どもからお年寄りまでイキイキと暮らせるコミュニティの構築、地球環境や自然と調和した豊かな地域づくりなど、さまざまな課題を踏まえた「サステナブルな街づくり」への視点が求められています。

日本初、住民主導の街づくりプロジェクト「Tomihisa Cross」

江戸時代から永く住み継がれてきた街、富久町

新宿区のほぼ中央に位置する富久町は、江戸時代から武家屋敷として栄えてきた歴史ある街です。副都心の近隣に位置しながらも、古き良きコミュニティを残した穏やかな住宅街として住み継がれてきましたが、バブル期の無秩序な土地売買によって街並みが虫食い状態となっていました。事態を憂慮した住民たちが1990年に勉強会を開始し、1997年に全国初の住民主導による「西富久まちづくり組合」を結成、再開発事業がスタートしました。2002年には都市再生特別措置法に基づく緊急整備地域に指定されたことで、事業が大きく進捗しました。野村不動産は、この事業に他のデベロッパー3社と共に2008年から参画し、地域の住民はもちろん、住民の思いに共感した大学、企業、団体など多くの関係者と知恵を寄せ合い、「産・官・学・民」の連携の下、地域の人々に長く愛される街づくりを目指して検討を進めてきました。

四半世紀の時を経て、多世代が住み続けられる街が誕生

西富久地区第一種市街地再開発事業(通称「Tomihisa Cross」)は、約2.5haの広大な敷地に、地上55階建ての分譲タワーマンション「コンフォートタワー」をはじめ、「グリーンレジデンス」や「ペントテラス」といった住宅、大型スーパー、認定こども園、商業店舗、防災倉庫などを設ける、JR山手線環内では最高層、最大規模の複合プロジェクトです。50年、100年と永きにわたり住み続けられる街となるよう、先進の技術と知見を駆使した防災対策を施すとともに、周辺住民とのコミュニケーションの場としても利用可能な約800m2の大広場(彩華の広場)をシンボルに、賑わいのある場を創出しています。さらに“世界一のイゴコチ”をコンセプトに、住みやすさや快適さを高めるアイデアを随所に盛り込んだことで、世代を問わず、この街に暮らす全ての方々にとって魅力ある街へと生まれ変わりました。

コミュニティづくりの
象徴となる「彩華の広場」
緑あふれる暮らしを彩る
「グリーンレジデンス」

ハード/ソフトの両面から先進的な防災・減災対策を導入

「Tomihisa Cross」では、災害に強い街づくりを目指して、さまざまな防災・減災対策を施しています。「コンフォートタワー」では、制振柱と粘性ダンパー・ブレースを組み合わせて風揺れを軽減させる「デュアル制振構造」の採用や、3日分に相当する非常用発電機設備を備えている他、3日分の非常食などを備えた防災倉庫を各階に設置しています。こうしたハード面の整備に加え、早稲田大学の尾島俊雄名誉教授と共に災害時の生活継続と日常生活への早期復帰のためのプログラム策定に取り組むなど、ソフト面の取り組みも進めています。

10万以上のアイデアから、”1,000のイゴコチ”を実現。

今回のプロジェクトでは、“世界一のイゴコチ”というコンセプトを実現するため、「イゴコチの良い空間とは何か?」を追求する「Tokyoイゴコチ論争」を2013年にスタートさせました。Webでのアンケートや座談会を通じて寄せられた10万以上のアイデアを吟味し、共用空間やサービスなどに関する1,000個の“イゴコチ”を具現化。この街に暮らす方々に、豊かで快適な日々やコミュニケーションづくりの場を提供しています。

ステークホルダーの声

新たに居住された方々と共に活気あるコミュニティづくりに取り組みます。

西富久地区は、四谷や市ヶ谷にもほど近く、新宿駅からも歩ける交通の便と環境に恵まれた立地にあります。このまちは、路地で立ち話をしたり、猫が昼寝をしている光景などがあちこちで見られ、古き良きコミュニティが残る温かいまちでした。

90年代に入ってバブル崩壊に直面したものの、このまちが好きで住み続けたいと願う住民主導で「まちづくり組合」を設立。勉強会開始から25年の時を経て、この度「富久クロス」の新しいまちが誕生したことには、大変感慨深いものがあります。

私たちは常に、“住民にとって何が一番よいか”を基準に街づくりを進めてきました。事業に協力いただいた大学、団体、企業の皆さまには、常に住民の立場に立った提案をいただき大変感謝しております。

これからは、新たに居住された方々と共に、私たちにふさわしい、活気あるコミュニティづくりに取り組んで参ります。野村不動産グループには、引き続き安心できるパートナーとして、後世に残る素晴らしいまちづくりへの協力をお願いいたします。

西富久地区市街地
再開発組合理事長
笹野 亨様

サステナビリティ