サステナブル・ファイナンス

当社グループは、不動産開発や不動産関連サービスを提供する企業として社会的責任を担っており、グループ企業理念に掲げる「未来(あした)につながる街づくり」を実現することが、当社グループにとって重要な課題と捉えています。持続可能な社会の発展に貢献するための資金調達を行うことを目的として、サステナビリティ・リンク・ローンやサステナビリティ・ボンドなどの取り組みを進めています。 

サステナビリティ・リンク・ローン

概要

サステナビリティ・リンク・ローン(以下「SLL」)とは、借り手のESG戦略に規定されているサステナビリティ目標と連携したサステナビリティ・パフォーマンスターゲット(以下「SPTs」)を設定し、金利条件などの貸付条件とSPTsに対するパフォーマンス評価を連動させ、その達成状況に応じて、借り手にインセンティブやディスインセンティブが発生するローンです。SPTsの達成を目指すことで、持続可能な経済活動および経済成長の推進が促されます。
当社グループは、サステナビリティ・コーディネーターである株式会社千葉銀行の協力のもと、国内初となる「包括型SLLフレームワーク※1」を制定し、本フレームワークに基づく調達の第一弾として2021年7月30日にコーディネーターを含む地銀広域連携「TSUBASAアライアンス※2」参加9行から総額110億円(リファイナンス含む)の資金調達を行いました。
今後はESGに関心の高い金融機関を中心に、本SLLによる取引拡大を行うことで資金調達の安定化を図ります。また、ESGへの取り組みを一層強化し、地球温暖化などの気候変動に伴う諸課題、人権・労働問題などの社会課題、ガバナンス体制の充実・強化などを推進します。

金融機関と借り手の取引契約毎に必要となるSPTs、インセンティブ、レポーティング方法などの SLL 要件を統一的に定義した枠組み。当社と金融機関の双方におけるSLLの取り組みを容易化

千葉銀行、第四北越銀行、中国銀行、伊予銀行、東邦銀行、北洋銀行、武蔵野銀行、滋賀銀行、琉球銀行、群馬銀行の10地銀が参加する広域連携

フレームワークの概要

フレームワーク制定日2021年7月28日
サステナビリティ・コーディネーター千葉銀行
SPTsSBT認定に基づく温室効果ガス総排出量削減目標※3
インセンティブSPTs達成状況に応じた金利スプレッド優遇

2030年までに2019年度比、温室効果ガス排出総量を35%削減

ポジティブ・インパクト・ファイナンス

概要

ポジティブ・インパクト・ファイナンス(以下「PIF」)とは、国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱するポジティブ・インパクト金融原則に基づき、企業活動が環境・社会・経済に及ぼすインパクト(ポジティブな影響とネガティブな影響)を包括的に分析・評価し、当該活動の継続的な支援を目的とした融資です。企業の活動、製品、サービスによるSDGs達成への貢献度合いを評価指標として活用し、貸付金融機関が開示情報に基づきモニタリングを行い、エンゲージメントを通じて活動を支援することで、SDGs達成と企業の財務価値向上の好循環を目指すものです。
当社グループは今後もSLLと並行してPIFによる安定的な資金調達を行っていき、SDGsの達成及び持続可能な社会の実現に向けて事業活動を推進します。

PIF評価機関三井住友信託銀行株式会社/株式会社道銀地域総合研究所
PIF評価取得日2023年3月31日/2023年9月29日
貸出金融機関三井住友信託銀行株式会社・株式会社四国銀行・株式会社北海道銀行
調達金額合計220億円

三井住友信託銀行株式会社が評価したPI評価を活用し、複数の金融機関から機動的にPIF調達が可能となるフレームワークを利用。

サステナビリティ・ボンド

概要

野村不動産ホールディングス株式会社は、環境・社会双方の課題解決に貢献する施策・プロジェクトに充当する資金の調達手段として、「サステナビリティ・ボンド」(以下、本社債)を発行しています。また、本社債の発行に際し、「野村不動産グループ・サステナビリティボンド・フレームワーク(参照1)」を策定しています。

社債の名称野村不動産ホールディングス株式会社
第15回無担保社債(サステナビリティ・ボンド)
社債総額100億円
取得格付(発行時)A(株式会社日本格付研究所)
A-(株式会社格付投資情報センター)
サステナビリティ・ボンドに対する
第三者評価(外部評価)
「野村不動産グループ・サステナビリティボンド・フレームワーク」について、第三者評価機関であるヴィジオアイリス(現ムーディーズ・ジャパン株式会社)、株式会社日本格付研究所(JCR)、株式会社格付投資情報センター(R&I)より、サステナビリティボンド・ガイドラインなどの諸原則との適合性に対する第三者評価(参照2)を取得済です。
資金使途「PMO(ピーエムオー)」、「H1T(エイチワンティー)」、「OUKAS(オウカス)」に要した資金のリファイナンスを目的とした当社子会社への投融資資金

参照1:「野村不動産グループ・サステナビリティボンド・フレームワーク」 

参照2:第三者評価書

「JCRサステナビリティファイナンス・フレームワーク評価」
「JCRサステナビリティボンド評価」
「Vigeo Eiris(現ムーディーズ・ジャパン)セカンドオピニオン」
「R&Iセカンドオピニオン」

レポーティング

①資金充当状況レポーティング

■適格事業の概要

以下の対象物件・事業に関する支出・投資に充当しています。

  
グリーンプロジェクト
対象事業の概要対象物件・事業
PMO (ピーエムオー) Premium midsize office
PMO (ピーエムオー)
Premium midsize office
上質な「働く空間」を実現したプレミアム・ミッドサイズ・オフィスとして、大規模ビルと同等の機能性とグレードを併せ持つ中規模オフィス事業です。
ワンフロア・ワンテナント設計を基本とし、効率性と独立性・安全性を確保しています。また、機密情報を扱う企業からも高い信頼を得ています。
PMO西新宿
PMO神保町
  
ソーシャルプロジェクト
対象事業の概要対象物件・事業
OUKAS(オウカス)
OUKAS(オウカス)
健康寿命の延伸を目指す新たなアクティブシニアレジデンス「オウカス」(サービス付き高齢者向け住宅)を開発・運営しています。運動・食事・睡眠など日常生活のサイクルの中で健康になれるウェルネスプログラムと、24時間見守りサービスなどのサポート体制により、「人生を謳歌し、生き生きとした明日を実現する住まい」を提供します。オウカス船橋
H1T (エイチワンティー) Human First Time
H1T (エイチワンティー)
Human First Time
従量課金制による、快適で上質な「働く場」を提供するサテライト型シェアオフィスです。「HUMAN FIRST」の事業思想を具現化した、多様なワークスタイルの実現し、利便性がよく快適な第二のオフィスといえる場を提供します。H1T

■調達資金の充当状況(2024年9月30日時点)

金額(百万円)
調達金額(本社債発行額から発行諸費用を除いた金額) 9,937
充当金額 9,937
2024年9月30日時点の未充当金額 0

なお、上記支出は全額リファイナンスへの充当となります。

②インパクト・レポーティング

■グリーン適格要件を満たす物件の名称、取得した認証のレベルと取得時期

対象物件認証制度取得認証付与日
PMO西新宿DBJ Green Building認証
2021/5/24
PMO神保町DBJ Green Building認証
2022/8/29

■グリーン適格要件を満たす物件の環境データ(2023年4月1日~2024年3月31日)

対象物件CO2排出量エネルギー使用量水使用量
PMO西新宿310t-CO2 707MWh 2,263㎥
PMO神保町119t-CO2 270MWh 985㎥

■ソーシャル適格要件をみたす物件、事業の指標

オウカス船橋
総戸数125戸
利用者数(2024年3月末時点)131人
H1T
拠点数(2024年3月末時点)151拠点(左記に加え、提携130拠点)
会員数(2024年3月末時点)約47万人

グリーンボンド(芝浦グリーンボンド)

概要

野村不動産ホールディングス株式会社は、環境の課題解決に貢献する施策・プロジェクトに充当する資金の調達手段として、「グリーンボンド」(以下、本社債)を発行しています。また、本社債の発行に際し、「野村不動産グループ・サステナビリティボンド・フレームワーク(参照1)」を使用しております。

社債の名称 野村不動産ホールディングス株式会社
第16回・第17回・第18回無担保社債(芝浦グリーンボンド)
社債総額 500億円
取得格付(発行時) A+(株式会社日本格付研究所)
A(株式会社格付投資情報センター)
グリーンボンドに対する
第三者評価(外部評価)
「野村不動産グループ・サステナビリティボンド・フレームワーク」について、第三者評価機関であるヴィジオアイリス(現ムーディーズ・ジャパン株式会社)、株式会社日本格付研究所(JCR)、株式会社格付投資情報センター(R&I)より、サステナビリティボンド・ガイドラインなどの諸原則との適合性に対する第三者評価を取得済です。
資金使途 「BLUE FRONT SHIBAURA(芝浦プロジェクト)」に要する開発資金を目的とした当社子会社への投融資資金

レポーティング

①資金充当状況レポーティング

■適格事業の概要

以下の対象物件・事業に関する支出・投資に充当しています。

グリーンプロジェクト
対象事業の概要対象物件・事業
国家戦略特別区域の特定事業で、区域面積約4.7ha、延床面積約55万㎡の大規模複合開発。建物の省エネ性能向上により、CO2排出量45%削減+「太陽光発電」「カーボンニュートラル都市ガス」導入により、街区全体でのCO2排出量実質ゼロを実現予定。「BLUE FRONT SHIBAURA(芝浦プロジェクト)」

■調達資金の充当状況(2024年9月30日時点)

金額(百万円)
調達金額(本社債発行額から発行諸費用を除いた金額) 49,749
充当金額49,749
2024年9月30日時点の未充当金額0

なお、上記支出は全額リファイナンスへの充当となります。

②インパクト・レポーティング

■グリーン適格要件を満たす物件の名称、取得した認証のレベルと取得時期

対象物件 認証制度 取得 認証付与日
「BLUE FRONT SHIBAURA(芝浦プロジェクト)」 LEED認証 ゴールドランク プレ認証取得済
CASBEE認証 Sランク取得予定

■グリーン適格要件を満たす物件の環境データ

対象物件 CO2排出量 エネルギー使用量 水使用量
「BLUE FRONT SHIBAURA(芝浦プロジェクト)」

サステナブルファイナンス取組実績・目標

■取組実績(2024年3月31日時点)

サステナビリティボンド100億円
グリーンボンド200億円
SLL3,100億円/71金融機関
PIF220億円/3金融機関
DBJ健康経営格付融資、BCM格付融資25億円/1金融機関
DBJ BCM格付融資40億円/1金融機関
Mizuho 人的資本経営インパクトファイナンス65億円/1金融機関
サステナブル・ファイナンス合計3,750億円

■今後の取組目標

「2028年3月期までの5年間で、新たにサステナブル・ファイナンスで 5,000億円の調達」(累計 7,000億円)