事業等のリスク
事業等のリスク
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、主要なリスクのうち当社グループの事業に与える影響の大きさや外部環境等を踏まえ、2025年3月期において特に注視するリスクを選定しております。
なお、文中の将来に関する事項及びリスクの認識は、2024年3月期末現在において当社グループが判断したものであります。ただし、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見出来ないまたは重要と見なされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。
(主要なリスク)
リスクカテゴリー | 定義 | 主要なリスク | ||
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(A) | 投資リスク | 個別の投資(不動産投資・戦略投資(M&A)等)に関するリスク | ① | 不動産投資に伴うリスク |
② | 戦略投資(M&A)・新規事業に伴うリスク | |||
(B) | 外部リスク | 事業に影響を及ぼす外的要因に関するリスク | ③ | 市場の変化によるリスク |
④ | 経済情勢の変化によるリスク | |||
⑤ | 政治・社会情勢・制度(法規制・税制・会計制度等)の変化によるリスク | |||
⑥ | 事業の前提となる社会構造の変化・イノベーションに遅れることによるリスク | |||
(C) | 災害リスク | 顧客及び事業継続等に大きな影響を与える災害に起因するリスク | ⑦ | 顧客及び事業継続等に大きな影響を与える災害(地震・台風・洪水・津波・噴火・大火災・感染症の流行等)に起因するリスク |
(D) | 内部リスク | 当社及びグループ各社で発生するオペレーショナルなリスク | ⑧ | 法令違反によるリスク |
⑨ | 品質不良の発生によるリスク | |||
⑩ | 情報システム危機発生によるリスク | |||
⑪ | 人材に関する事項への対応不備によるリスク | |||
⑫ | 不正、過失等の発生によるリスク |
(特に注視するリスク)
リスクカテゴリー | 主要なリスク項目 | |
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(A) | 投資リスク |
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(B) | 外部リスク |
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(C) | 災害リスク |
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(D) | 内部リスク |
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主要なリスク項目の内容と主な取り組みについては以下のとおりです。
リスク項目 | ①不動産投資に伴うリスク | リスクカテゴリー | (A)投資リスク |
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リスクの内容 |
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主な取り組み | 不動産投資・開発事業については、予めリスクの抽出及び分析・評価、リスクテイクまたはリスク回避の方針を検討の上、当社またはグループ会社の経営会議または取締役会等において判断をしております。特に、工事費の上昇リスクについては、事業用地の取得時に一定の追加コストを織り込む等の対応の実施、並びに工事費の動向及び工事費上昇に伴う影響について取締役会または経営会議において定期的にモニタリングを行っております。 なお、事業用地の取得後は、スケジュールが遅延するリスクや建築コストの状況等について、事業を所管する組織にて把握し、特に重要な事象が発生した場合には必要に応じて当社またはグループ会社の経営会議または取締役会等にて審議のうえ、課題への対応を行っております。 また、推進中及び完了した事業において、各事業の進捗のモニタリングや実績の振り返りを行い、事業種別ごとの課題や傾向等について把握・分析を行っております。 |
リスク項目 | ② 戦略投資(M&A)・新規事業に伴うリスク | リスクカテゴリー | (A)投資リスク |
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リスクの内容 |
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主な取り組み | 戦略投資(M&A)にあたっては、当社グループの既存事業とのシナジー効果や、対象会社の経営計画・財務内容・契約関係等を慎重に調査・検討し、将来の当社グループの業績に貢献すると判断した場合に実行しております。また、戦略投資(M&A)実行後には、対象会社と当社グループとの統合プロセスの状況、経営課題及びその対応方針等について、取締役会または経営会議において定期的にモニタリングを行っております。 新規事業の検討にあたっては、当社グループの既存事業とのシナジー効果や、事業計画等を慎重に調査・検討し、将来の当社グループの業績に貢献すると判断した場合に実行をしております。また、新規事業への参画後は、事業の推移等を定期的にモニタリングし、計画の修正や再生等が必要な場合には、当社またはグループ会社の経営会議または取締役会にて審議を行っております。 |
リスク項目 | ③ 市場の変化によるリスク | リスクカテゴリー | (B)外部リスク |
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リスクの内容 |
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主な取り組み | 当社グループでは、各事業についての外部環境の認識を定期的に更新し、業績への影響の把握と事業の進捗管理や精度の向上に努めております。 不動産投資・開発事業における投資決定にあたっては、現在及び将来の市況を把握または予測するとともに、過去のマーケットの推移等も確認し、市況の変動が発生した場合においても影響を一定程度に抑えることを基本としております。 また、市況に急激な変動が生じた場合でも、財務状況に関して一定の健全性を確保することができるように、リスク評価を実施したうえで、投資予算を策定しております。 |
リスク項目 | ④ 経済情勢の変化によるリスク | リスクカテゴリー | (B)外部リスク |
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リスクの内容 |
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主な取り組み | 経済情勢の変化については、外部環境の認識を定期的に更新し、業績への影響の把握に努めております。 借入金による資金調達にあたっては、長期・固定での借入を主とすることにより、短期的な金利上昇のリスクへの対応を図っております。 不動産投資・開発事業においては、賃料の低下やキャップレートの上昇による資産価格の下落等が発生した場合においても影響を一定程度に抑える投資判断を行っております。 為替変動のリスクについては、海外で展開する事業種別を踏まえた為替ヘッジ方針を定め、これに沿った運営をしております。 また、海外事業におけるゼネコンやJVパートナーの状況については、第1線による定期的なモニタリングとともに、海外事業リスク会議等を通じて、事業に影響を及ぼす事象やその対応について定期的に確認・審議し、必要に応じて当社またはグループ会社の経営会議または取締役会等においても審議を行っております。 |
リスク項目 | ⑤ 政治・社会情勢・制度(法規制・税制・会計制度等)の変化によるリスク | リスクカテゴリー | (B)外部リスク |
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リスクの内容 |
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主な取り組み | 国内外の政治・社会情勢、各種法規制、税制及び会計制度の動向については、業界団体や専門家、取引関係先等からの情報を収集・分析して当社の第2線の各組織にて対応の検討を行い、重大な影響が予想されるものについては内容に応じて取締役会または経営会議にて審議を行っております。 特に海外事業においては、事業参画時に外部の専門家の知見を踏まえ、今後の政治・社会情勢の見通し、適用される法規制及び税制等を確認し、参画後には海外事業リスク会議等を通じて、事業の戦略・収支・推進等に影響を及ぼす政治・社会情勢、重要な関連法令の変更の状況等を定期的に確認し、変更がある場合には影響の評価・対応の方針等を検討のうえ、取締役会または経営会議にて審議を行っております。 人権については、社長執行役員(グループCEO)を委員長とする「サステナビリティ委員会」が、「野村不動産グループ人権方針」に則った方針の策定、各目標に対する進捗状況の確認、及び活動計画の審議を行っております。また、下部組織である「人権分科会」が、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づく、人権デュー・デリジェンスのプロセスの構築・運用に取り組んでおります。 |
リスク項目 | ⑥ 事業の前提となる社会構造の変化・イノベーションに遅れることによるリスク | リスクカテゴリー | (B)外部リスク |
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リスクの内容 |
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主な取り組み | 当社グループはこれまでも事業環境の変化の中で、マーケットインの発想に基づく不動産開発力や、街づくり・不動産関連サービスにおける品質へのこだわりといった強みを活かし、独自性の高い新たな価値を創造し、社会とお客様に提供してまいりました。 この強みをベースに、社会構造・産業構造の変化や、社会や顧客のサステナビリティへの意識の高まりに対応すべく、当社に「DX・イノベーション推進部」と「サステナビリティ推進部」を設置し、新領域事業の研究・開発、イノベーション創発・デジタル戦略等の企画・推進、及びサステナビリティに関する取り組み等を行っております。 DX・イノベーション推進部を事務局として、当社グループ各社の従業員が、日常の業務の枠組みを超えて取り組める「イノベーション推進制度」を設け、イノベーション人材の育成を図るとともに新たな領域探索活動を推進しております。 また、コーポレートベンチャーキャピタルを通じて、出資先となる革新的技術やサービスを持つベンチャー企業と協業し、デジタルテクノロジーを活用したサービスの提供も継続しております。 価値創造に挑戦する風土の形成やグループ連携の強化については、コーポレートコミュニケーション部を事務局としてグループ内表彰制度「野村不動産グループアワード」を設けて取り組んでおります。 さらに、人材確保難への対応として、デジタルテクノロジー等の活用による業務効率化・省力化に取り組むと共に、「適所適材」につながる配置・登用、育成、人材の確保及び「環境整備」につながるウェルネス、ダイバーシティ&インクルージョンの各施策を講じております。 当社グループの人的資本経営に関する取り組みについては2024年3月期有価証券報告書P.29~30をご参照ください。 なお、当社グループにおける温室効果ガスの削減、当社商品及びサービスに係る環境性能・エネルギー性能の向上等を含むサステナビリティに関する取り組みについては、当社サステナビリティサイト、特集ページをご参照ください。 |
リスク項目 | ⑦ 顧客及び事業継続に大きな影響を与える災害(地震・台風・洪水・津波・噴火・大火災・感染症の流行等)に起因するリスク | リスクカテゴリー | (C)災害リスク |
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リスクの内容 |
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主な取り組み | 当社グループでは、様々な災害発生の増加を重要な社会課題と認識し、行政及び防災の専門家等との協議を踏まえ、災害時の安心・安全の確保に努めるとともに、災害が発生した場合には、その影響を最小限に抑え、生活や事業を継続できるように防災に取り組むとともに、災害発生時における事業継続に関する行動計画(BCP)を策定しております。 地震、風水害に関しては、BCPにて、非常時の指揮命令系統、事業継続のための任務分担などを定め、災害の影響を最小限に抑える体制を整備し、年に一度「災害対策本部設置訓練」を実施することで、規定内容の確認(役職員の生命や安全の確保、指揮系統の確立、事業復旧)を行い、非常時に備えています。感染症については、新型コロナウイルス感染症の当社グループにおける対応実績を踏まえ、今後の新たな感染症の発生に備えて、感染確認時から蔓延時まで、感染状況に応じた対応(指揮系統の確立、事業継続を目的としたコア事業の選定、感染予防等に関する共通ルールの策定等)について取りまとめた感染症に関するBCPを策定しております。また、国内だけでなく、海外における様々な地政学リスク・テロ・災害発生等に対する初動対応や国外退避基準等を定めたBCPも策定しております。 地震・火災・風水害等の突発的な事故の発生に関しては、当社グループの「品質マニュアル」における集中豪雨対策や浸水対策の規定、防災対応マニュアルの整備や防災ガイドブックの配布等の管理物件における居住者・管理組合・テナント企業・施設利用者等に対する防災支援等を行い、災害時の安心・安全を確保するための取り組みを行っております。 |
リスク項目 | ⑧ 法令違反によるリスク | リスクカテゴリー | (D)内部リスク |
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リスクの内容 |
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主な取り組み | 当社グループでは、役職員が法令及びグループ各社が定める社内規程等を遵守し、さらに、より高い倫理観に従って行動することを目的とし「野村不動産グループ倫理規程」を定め、役職員に対する継続的な教育、研修を行っております。 宅地建物取引業法等の主要な法令に関しては、法令遵守のため、各法令に応じた業務フローの策定を行い、研修やOJTによる周知徹底と法令遵守状況の定期的な自主点検を行っております。独占禁止法等に関しては、資材価格、エネルギーコストなどの上昇を踏まえた受注者への適正な価格転嫁を実現するため、グループ各社の業務特性や事業規模に応じた業務ルールの策定や、マニュアルの作成、研修の実施などを行い、法令遵守体制の強化に取り組んでおります。また、外国公務員等への不適切な接遇に関しては、規程等を制定し、海外事業に関係する役職員及び海外現地採用職員を対象として、定期的な研修を実施しております。 |
リスク項目 | ⑨ 品質不良の発生によるリスク | リスクカテゴリー | (D)内部リスク |
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リスクの内容 |
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主な取り組み | 不動産開発事業においては、一定の信用力・技術力を有する第三者に建物の設計・施工業務等を発注し、その設計・施工における品質を確保するため、当社グループにて「設計基準」(構造・建築・設備・電気)及び「品質マニュアル」等を定め、発注先による遵守徹底を図るとともに、発注者として施工状況の確認及び品質検査を実施しております(但し、他社との共同事業や再開発組合が主体となる再開発事業等においては、事業形態に応じて異なる方法を採用する場合があります)。また、賃貸・管理する施設に関しては、管理に係る業務標準書、修繕工事における安全・仮設ガイドライン等を策定して業務を行うとともに、万一の不備や事故等に備え、損害保険を付保しております。 |
リスク項目 | ⑩ 情報システム危機発生によるリスク | リスクカテゴリー | (D)内部リスク |
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リスクの内容 |
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主な取り組み | インターネットやクラウドサービスを活用した業務変革や、持続的な成長の実現へ向けたDXへの取り組みを積極的に推進している状況において、情報セキュリティの確保はこれまで以上に重要性を増してきており、インターネットからの不正アクセス遮断や情報端末のウイルススキャン、万一マルウェアやボット等が侵入した場合に振る舞いを検知して不正送信を阻止する等のセキュリティシステムを導入し、さらにこれらのシステムからのアラート監視を行い、サイバー攻撃や情報漏洩に備えたICT環境の整備を進めています。また、クラウドサービスの利用においては、事前にセキュリティチェックを行っており、安全に利用するよう確認しております。 システム障害による事業継続への対応として、ネットワークやシステムの稼働状況を監視し、万一の障害発生に備えた速やかな復旧手段や業務代替手段の整備拡充に取り組んでおります。 個人情報に関しては、関係する諸法令の遵守と適正な取扱いの確保に努めており、当社グループにおける情報の組織的管理とセキュリティのレベルの維持向上を図ることを目的として「情報セキュリティ規程」及び「情報取扱ガイドライン」を定め、定期的に役職員への情報セキュリティ啓蒙を行い、顧客の権利や利益の保護と当社グループにおけるICT環境の安定的な運用を図っております。 また、万一の情報漏洩等の事故発生に備え、サイバー保険を付保しております。 |
リスク項目 | ⑪ 人材に関する事項への対応不備によるリスク | リスクカテゴリー | (D)内部リスク |
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リスクの内容 |
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主な取り組み | 当社グループは「活き活きと働くウェルネスの実現」を行動指針として掲げ、持続可能な社会の実現に向けて、事業活動を継続し、企業価値を向上していくために、すべての役職員が心身ともに健康で活き活きと仕事に取り組むことが企業の持続的成長につながる「ウェルネス経営」を目指しております。 多様な人材が働きやすい労働環境の構築のため、有給休暇の取得推奨、テレワークの推進、育児・介護等による休業や短時間勤務制度等を導入するとともに、定期的な研修により、役職員の多様性に関する理解度向上に取り組んでおります。また、野村不動産など一部のグループ会社において、男性の出生時育児休業の一部有休化や積立有休制度を導入しております。 勤務時間の適切な把握のため、勤怠管理システムを導入して管理を行い、特に長時間労働については定期的な状況のモニタリングを行っており、また、人事制度やその運用の遵法性については、定期的に社外の専門家による検証を行い、リスク顕在化の予防に努めております。 また海外においては独自の法律、文化、慣習があることから、外部の専門家等の知見を活用した人事労務制度の構築、駐在員の相談窓口の整備、医療機関の斡旋や受診のサポートを行うサービスの整備等を行っております。 なお、当社グループでは、ウェルネス・働き方改革・人材の多様性の確保を一体的に推進すべく、社長執行役員(グループCEO)を委員長とする「人材・ウェルネス・D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)委員会(ウェルネス・D&I推進委員会から名称変更)」、ダイバーシティ&インクルージョンの推進に係る専任組織「グループ人材開発部/ウェルネス・D&I推進室」を設置しております。前連結会計年度には、当社グループのD&I推進方針及び中期・短期の推進ロードマップを策定・公表し、当連結会計年度までをステップⅠとしてD&I意識醸成に取組んで参りました。翌連結会計年度からはステップⅡとして『D&I意識醸成』の継続的な取り組み、『D&Iが事業活動に組み込まれる文化形成』を目指し、キーゴールとして『①グループ新本社での新たな働き方スタートに向けてD&Iの推進、②インクルーシブデザインの認知向上、体験会等の実施継続』を設定しております。 また、当連結会計年度において、経営戦略と人材戦略の連動による『人的資本経営』を推進すべく、野村不動産グループ各社が参加する「人的資本タスクフォース」を設置し、人的資本経営の方針について議論を行っております。当社グループにおける人的資本経営の方針については2024年3月期有価証券報告書P.29~P.30をご参照ください。 |
リスク項目 | ⑫ 不正、過失等の発生によるリスク | リスクカテゴリー | (D)内部リスク |
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リスクの内容 |
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主な取り組み | 当社グループでは、役職員が法令及びグループ各社が定める社内規程等を遵守し、さらに、より高い倫理観に従って行動することを目的とし「野村不動産グループ倫理規程」を定め、役職員に対する継続的な教育、研修を行っております。 また、当社及びグループ会社の各部室店にコンプライアンス推進責任者を配置することで、各職場におけるコンプライアンス活動の実効性を高める体制を構築しております。さらにグループ各社共用の内部通報制度「野村不動産グループ・ヘルプライン」によって、通報及び相談窓口を内部及び外部にそれぞれ設ける等、公益通報者保護法に基づく体制整備及び運用を行っております。 |