都市型コンパクトタウンの創造

※この記事は、2016年に作成しました。

世帯構成の変化や都市化によって注目される「都市型コンパクトタウン」

少子高齢化を背景に単身世帯や高齢世帯が増加するなか、日々の暮らしや通勤、通院など、さまざまな面で利便性の高い都市部への人口集中が進んでいます。全国各地の中核都市に おいて、多様な人々が、より快適な生活を過ごせるような環境整備が求められるなか、政府が提唱する「地方創生」や、東日本大震災以降の防災意識の高まりと相まって、国内各地で新たな街づくりへの機運が高まっています。
こうした背景の下、当社グループが力を入れているのが「都市型コンパクトタウン」です。「都市型コンパクトタウン」とは、安全で快適な住宅はもちろん、商業施設やスポーツ施設、シニア向け施設、公園、病院、学校、研究施設など、さまざまな機能を歩いて行ける範囲内に凝縮した街づくりのこと。あらゆる世代の人々に、安心や豊かさを提供しながら、周辺地域も含めたコミュニティを育み、その街ならではの個性をつくっていく――それこそ、当社グループが目指す街づくりです。

“理想の街づくり”には運営する力が不可欠

「都市型コンパクトタウン」の開発には、住まいやオフィス、商業施設など、多様な施設を開発・運営するノウハウとともに、それらを“街づくり”の視点の下に連携させる高度な構想力やマネジメント力が求められます。当社グループは、住宅系再開発において業界トップクラスの実績を誇るとともに、近年の事業領域の拡大によって、幅広い施設に関するノウハウを蓄積してきました。加えて、シニア・健康ニーズへの対応やエネルギー事業への進出など、新分野への挑戦によって培ったノウハウが、街の付加価値を高める上で、大きな強みになるはずです。

このように、グループ全体で高めてきた総合力を活かして、当社グループはすでに、千葉県「ふなばし森のシティ」や兵庫県「ズットシティ」など、個性ある「都市型コンパクトタウン」を実現し、コミュニティの創出やタウンマネジメントの推進を通じて、そこに暮らす人々から、そして地域社会から確かな評価を獲得してきました。現在も神奈川県綱島・日吉地区の再開発計画に参画し、サステナブルな街づくりを推進しています。

こうした高付加価値な街づくりを通じて、今後長きにわたって活用される良質な不動産ストックを形成すること、そしてそこに「住まい」「働き」「集い」「憩う」人びとと共に豊かな時を育むことが、当社グループならではの社会貢献であると同時に、持続的な成長を実現する機会でもあります。今後もグループの総合力を発揮して、人と社会に活力を提供することで、社会と共に成長していきます。

グループシナジーを活かした「都市型コンパクトタウン」への取り組み

住宅を核とした大規模複合開発により当社の強みを発揮

ふなばし森のシティ
  • 分譲住宅
  • 商業施設
  • 総合病院
  • シニア向け住宅
ズットシティ
(JR塚口駅前再開発プロジェクト)
  • 分譲住宅
  • 駅ビル
  • 商業施設
  • 駅前ロータリー
  • 大型公園
綱島・日吉地区再開発
  • 分譲住宅
  • 商業施設
  • 学校
  • 保育施設
  • シニア向け住宅

《事例》「自然・人」と「街」が融合する「Tsunashimaサスティナブル・スマートタウン(SST)計画」

名 称…Tsunashimaサスティナブル・スマートタウン
所在地…神奈川県横浜市港北区綱島東4丁目
スケジュール…2018年まちびらき
敷地面積…約37,900㎡

野村不動産やパナソニックをはじめとした異業種のパートナー10団体によるTsunashima SST協議会が、横浜市など行政の協力を得ながら持続可能な街づくりを推進。「この街が、未来をつくっていく。Innovating the Future Together.」をコンセプトに、“次世代都市型スマートタウン”の創造を目指します。

目指すべき目標と守るべきコードを定め、
「暮らし起点」の発想でスマートタウンづくりを推進

「Tsunashima SST」は、横浜市港北区綱島東にあるパナソニック工場跡地を活用した大規模再開発プロジェクトです。野村不動産・パナソニックを中心とする企業と自治体、そして市民が知恵を集結し、住む人、働く人、訪れる人など、街に関わる全ての人々の視点から、「暮らし起点」の発想で持続可能な街づくりを推進します。綱島地域のポテンシャルや課題を踏まえながら、集合住宅や商業施設、技術開発施設や国際学生寮など、さまざまな施設が連携して先進的なイノベーションを育む都市型スマートタウンを目指します。

そのための道標として、環境保全や安心・安全、セキュリティなど、幅広い視点から数値目標を設定しています。また、これらの目標を実現するため、街の景観を構成する要素や意匠に関する「デザインコード」、次世代や地球環境を考慮した「サスティナブルコード」、便利・快適で安心・安全な暮らしに関する「スマートコード」を策定。各施設はこれら3つのコードに基づき、ハード・ソフトの両面から“次世代都市型スマートタウン”にふさわしい施設づくりを実践していきます。

さらに、当社グループによる日吉複合開発計画など、周辺の開発事業との広域連携によって、環境未来都市・横浜にふさわしい持続可能な暮らし・街・社会の実現に貢献します。

野村不動産グループのCSR重点テーマの取り組み

安心・安全

「Tsunashima SST計画」では、暮らしを見守り、地球に安心・安全が広がる街づくりを目指して、多様な施設を網羅的に守るタウンセキュリティを実現。「街の見守り(主要出入口での映像取得率)100%」「タウ ン内駆けつけ15分」を目標に掲げています。
また、万一の災害に備えて、平時から施設ごとの特徴を活かしてエネルギーや情報、人・モノの相互融通や最適配分を計画。3日間のライフライン確保を目標に、非常時に通常の状態に復旧するまでのCCP(コミュニティ・コンティニュイティ・プラン)を策定していきます。

多様な情報を配信する
マルチサイネージ(電子看板)システム

コミュニティ

「Tsunashima SST計画」では、住む人、働く人、訪れる人など、街に関わる人々の交流が地域をグローバルにつなぎ、より良い未来を求めて人々が集う街づくりを目指します。多様性に配慮したコミュニティスペースの確保やコミュニケーションツールの充実などにより、世代や国籍を超えて交流を育む持続可能なコミュニティ形成を支えるとともに、街全体の自立的な価値向上を促します。

慶應義塾大学が開設する国際学生寮ならびに暮らしを支え育む拠点となる
タウンマネジメントセンター(イメージ図)

環境

「Tsunashima SST計画」では、環境目標として「CO2排出量40%削減」「生活用水使用量30%削減」「新エネルギー等利用率30%以上」を掲げるとともに、グローバルな環境性能評価であるLEED ND※のゴールド認証取得を目指します。先端ICTにより街全体のエネルギー使用状況を“見える化”するとともに、水素をはじめとした新エネルギーや、太陽光発電、天然ガスコージェネレーションなど多様なエネルギーを賢く分け合う街を実現します。

※ LEED ND:米国グリーンビルディング協会が開発・運用する建物と敷地利用の環境性能評価システムLEED(Leadership in Energy & EnvironmentalDesign)のND(Neighborhood Development:街づくり)部門。

タウン内に設置され、JXエネルギーが運営に携る水素活用拠点(イメージ図)

健康・快適

住宅や商業施設をはじめ、地域の小学校や保育施設などの整備を含めた多世代循環型の街づくりを目指す「日吉複合開発計画」では、シニア向け住宅の開発を計画。スポーツクラブ「メガロス」による生活者のニーズに合わせた健康管理サービスやシニア向けサービスなど、「住まう人」のみならず、「集う人」「地域の人」とも連携し、健康・快適な暮らしの実現に取り組んでいきます。

多様な人々が集う「コンパクトタウン」を
計画中の「日吉複合開発計画」概念図。

サステナビリティ