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第三者意見(CSRレポート2019)

関 正雄 氏

明治大学経営学部 特任教授
損保ジャパン日本興亜 CSR室 シニア アドバイザー
関 正雄 氏

野村不動産グループは、トップメッセージやCSR委員長メッセージにあるように、CSR/ESGを事業活動の中心に据えると宣言しています。2018年度は、国連グローバル・コンパクトへの加入、2030年の温室効果ガス削減長期目標の設定、グループCSR調達ガイドラインの運用開始と、マイルストーンになるような重要な取り組みが行われています。また、CSR/ESGを事業活動の基盤として取り組む風土の醸成に努めると宣言しています。この一連の動きは、経営にCSRを統合する意思を社内外に明確に示したものであり、高く評価できます。今後は、これらを具体的な活動にまで落とし込み、その進捗状況を開示していくことを望みます。そのために必要と考えられる改善点や具体的なアドバイスを以下に示します。

1. CSRマネジメント

  • 新中長期経営計画における「4つの価値創造テーマ」とCSRの「4つの重点テーマ」の全体を通じて、企業価値の向上と社会への価値創出にどうつなげるかを深堀りし、ストーリーとして社内外に示して欲しい。
  • 重点取り組み項目が設定されたので、次のステップとしてKPIを具体的に設定し、目標に対する進捗状況を明らかにしていくことをお勧めします。
  • SDGsに関しては、既存取組みとSDGsの17目標との紐づけまでで終わっています。バリューチェーンベースで、SDGsを起点として自社のインパクトエリアを特定する作業が必要です。

2. 環境

  • 不動産は社会インフラとして数十年の長い寿命をもちます。脱炭素社会を先取りする先見性をもって、脱炭素社会への転換をインフラ面からリードするような高い志を掲げて取り組んで欲しい。
  • 環境面での自社の経営リスクとオポチュニティを分析するために、気候変動に関するイニシアチブであるTCFDへの対応をお勧めします。

3. 人権

  • SDGsの中核テーマでもある人権については、まずは国際人権規範そのものの理解に取り組むことが必要です。たとえば人権研修の中身は、同和問題とハラスメントのみとなっており、「国際人権規範を遵守する」と掲げた人権方針とのギャップが大きいです。
  • 社員の人権が主な関心事となっていますが、バリューチェーン全体で人権リスクをとらえる視点が必要です。特にサプライチェーンにおける人権・労働リスクへの対処は、重要なテーマと位置付けるべきです。
  • 業界ベースの人権デューディリジェンス勉強会に参加したのは良いことです。これを手始めとして、デューディリジェンスの体制構築と実効性のある運用に向けて、計画を策定し具体的に進める必要があります。

4. おわりに

「ローマは1日にして成らず」です。昨年生み出したモメンタムを継続・拡大して、今年度以降、CSRの経営統合を進め、一歩一歩具体化とレベルアップに取り組んで欲しいと思います。そのためにも、ステークホルダーとの対話をより深めることをお勧めします。そしてCSR委員長の言葉にあるように、CSR/ESGの側面でもリーディングカンパニーを目指して頂きたいと思います。

第三者意見を受けて

今年度より当社グループのCSR活動について関先生にご意見を頂戴し、深く感謝いたします。

CSR/ESGの取り組みを通じて社会課題を解決し、同時にお客様のニーズにお応えしながら新たな価値を創造することで、当社グループの持続的成長に繋げていきたいと考えております。
2018年度は、CSR委員会での議論を通じ、国連グローバル・コンパクトへの加入、グループCSR調達ガイドラインの運用開始に加え、気候変動への対応を強化するため2030年の温室効果ガス削減長期目標(スコープ1・2)を設定し公表しました。
特に、気候変動は社会全体で大きなリスクでありますが、一方で低炭素型の商品・サービスの開発などから事業機会の獲得にも繋がるものと考えております。お客様に引き渡した商品の使用段階(スコープ3)の低炭素・脱炭素化も含め、気候変動への対応については今後特に強化いたします。

CSR/ESGの取り組みをどのように具体的に事業の成長に繋げるかという点については、社内でもまだ議論を継続しているところです。関先生にご指摘頂いた通り、新中長期経営計画との連動も十分ではなく、経営戦略とCSR/ESGの統合を進めていかなければならないと感じています。CSR委員会に限らず、取締役会や経営会議、そして各事業部門を通じて幅広く議論を展開し、具体的な事業活動に落とし込んでいきます。これまでCSR/ESGの推進活動から「4つの重点テーマ」と「2つの推進基盤」におけるグループの方針や目標の設定はしておりますが、今後どのように事業の成長に繋げていくか、より具体的な検討を進めてまいります。また、同様にご指摘頂きました「人権」についても、不動産デベ・ゼネコン計8社の人権デューディリジェンス勉強会の参加などを通じ、サプライチェーン全体の人権・労働リスクを適切に理解し、具体的な活動計画を検討していきたいと考えております。

今回いただいた第三者意見を通じ、顧客、社会、野村不動産グループの三者にとって有益で、且つ持続可能な社会の実現に向けたビジネスモデルへの転換が、ひいては当社グループの持続的成長につながるということを改めて認識いたしました。 そしてこの実現のためにも、社員の心身の健康を大切にし、ウェルネス経営を実効的に推進してまいります。また、今回いただきました課題に関しまして、今年度以降取り組んでまいります。

当社グループは今回頂いた第三者意見を参考にし、またステークホルダーとの対話を重ねながらCSR/ESGの取り組みをより強化し、社会とお客様に向け新たな価値創造に努めてまいります。

野村不動産ホールディングス株式会社
代表取締役副社長
グループCOO
野村不動産グループCSR委員会委員長
宮嶋 誠一