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第三者意見(CSRレポート2020)

関 正雄 氏

明治大学経営学部 特任教授
関 正雄 氏

全体として、昨年度以降の改善努力やその具体的成果が伝わってくるレポートになっています。昨年の意見書での指摘や推奨事項にもしっかりと対応していただいており、企業として向上心をもって真摯に取り組んでいることが読み取れます。

1. 高く評価すべき点

  • 温室効果ガス排出削減の目標達成に向けて単に努力するだけではなく、取り組みのさらなる進化・加速を狙っていること。昨年の意見書での推奨事項であるTCFDへの対応開始(2020年9月の賛同表明)や、SBT取得へのチャレンジなど、より高いレベルでの取り組みにコミットし、トップメッセージでも言及していること。
  • 同様に、トップメッセージにおいて、外国人技能実習生や木材調達地における住民の問題に言及し、人権問題に力を入れることを具体的な問題意識とともに表明していること。また、昨年の意見書での推奨事項である人権デューディリジェンスの体制構築に着手して、レポートでも開示していること。
  • グループCOOがサステナビリティ委員長を務め、事業とサステナビリティを一体としてマネジメントする体制をとっていること。また、COOメッセージでも、SDGsの中心テーマである気候変動と人権問題への注力にコミットしていること。
  • 2019年の国連グローバル・コンパクトへの加盟以降、分科会活動に積極的に参加し、人権などのテーマで他社との連携・協働や学び合いを行なっていること。
  • 建物の長寿命・高耐久化への取り組み、高齢化社会・多文化共生社会などに対応した取り組み、ツールとしての「バリアフリー&クオリティオフライフガイドブック」や「外国人居住者に向けた入居のしおり」などは、ハード・ソフト両面で社会のニーズに応える不動産会社らしい良い取り組みであり、今後ますます強化して欲しい。

2. 今後のさらなる取り組みに向けての推奨事項

  • ビジネスと人権に関する国際規範に基づく取り組みは、今後も深化と情報開示の充実を期待する。例えば、野村不動産グループサステナビリティ方針への組み込みの検討、事業全般における人権リスク洗い出しと特定に関する体系的な記述など。
  • 2019年の経団連生物多様性イニシアチブへの賛同はよいことであり、気候変動と並ぶ重要な地球環境問題である生態系保全には今後も力を入れ、リーダーシップを発揮して欲しい。生物多様性COP15 を機にさらにステークホルダーの関心が高まり問題の重要性は増すと考えられるので、情報開示にもより力を入れることをお勧めする。
  • 2018年に策定したCSR調達基準は、順守のお願いだけでなく、自己点検依頼、順守状況チェック、訪問調査などさまざまな手段を組み合わせて、実効性向上に努めて欲しい。例えば、木材調達は重要な問題なので、東京オリンピック・パラリンピックの木材調達基準や他社事例なども参考にしながら、基準を不断に見直すとともに、高リスク国には現地団体などとともに訪問調査を行うことも推奨する。
  • ダイバーシティ配慮に関して、障がい者雇用率の過去5年間の推移をESGデータ集で開示しているのはよい。改善傾向を示す数字だけではなく、どのような努力をしているかもレポートで言及することをお勧めする。

3. おわりに

新型コロナ感染症は社会のあり方の再考を私たちに促し、レジリエントで持続可能な社会実現の必要性は変わらないどころか、ますます高まっています。トップメッセージで予定に言及された、2030年を超えた超長期ビジョンの発表にも期待しております。ステークホルダーとの対話を深めながら、これまでの改善努力を継続し発展させてください。

CSRレポート 第三者意見を受けて

当社グループでは、2019年度から継続して関先生より当社グループのサステナビリティ推進についてご意見を頂戴しており、深く感謝いたします。

当社グループには「あしたを、つなぐ」という企業理念があります。この理念のもと、持続可能な社会の実現に向けさまざまな社会課題を解決し、将来世代への責任を果たしていかなければならないと認識しております。社会の一員として、環境・社会面において継続してこの取り組みを推進してまいります。

環境面においては、2019年にスコープ1、2における削減目標を策定いたしましたが、更に取り組みを進め、本年度においてはTCFDに賛同表明したほか、グループのCO2削減目標についてスコープ3まで範囲を拡げSBT認定を取得するなど、より具体的な目標設定とその対応への取り組みを推進しております。今後は、デベロッパーとしてCO2削減に寄与する森林や木材利用の在り方、再生可能エネルギーの活用など、よりビジネスに近い視点で、当社の取り組みを検討していきたいと考えております。

一方、社会面においては、特に人権への対応においてご指摘を受けております「人権リスクの洗い出しや体系的な記述」「CSR調達ガイドラインの実効性向上」について、喫緊に対応しなければならない課題と認識しております。今期中の人権基本方針策定に向けて、既にタスクチームを立ち上げたほか、CSR調達ガイドラインにおけるエンゲージメント強化も重点的に取り組む課題として、具体的な行動計画に移行いたします。

他にもご指摘頂いた「レジリエントで持続可能な社会実現の必要性」においては、これまでの甚大な自然災害や昨年のコロナ禍において、当社グループが果たすべき役割はますます高まっていると考えております。街づくりやその地域住民の方々を含めて、どのようなレジリエンスを構築できるのかという視点で、検討を進めてまいります。

当社グループは、今回頂いた第三者意見を参考に、引き続きステークホルダーとの対話を重ねながらサステナビリティの取り組みを強化し、社会とお客さまに向けて新たな価値を提供してまいります。

野村不動産ホールディングス株式会社
代表取締役副社長
グループCOO
サステナビリティ委員長
宮嶋 誠一
※2021年3月末時点