CSRトップコミットメント

住まい、働き、集う人々のくらしや時を
豊かにすることで、その国・都市の有する
社会的課題の解決につなげる。
このことが、不動産業が担う責務です。

「あしたを、つなぐ」、住まい、働き、集う人々のくらしや時を豊かにすることが野村不動産グループの使命

当社グループは企業理念として、

あしたを、つなぐ

私たちは、人、街が大切にしているものを活かし
未来あしたにつながる街づくりとともに、
豊かな時を人びとと共に育み
社会に向けて、新たな価値を創造し続けます。

を、ステークホルダーの皆さまに向けて、「私たちの約束」として掲げています。

私のバックグラウンドは証券・金融であり、その側面からはどうしても不動産からもたらされる収益性に視点を当てがちになります。企業価値の向上には、そうした収益性が不可欠なのは言うまでもありません。しかし、私が最も大切にしていることは、その土地や建物には連綿と繋いてきたさまざまな歴史や人々の思いがあるということです。それらで育まれたものを生かしながら、また時代とともに役割を変え、新たな価値を創り出しながら、未来に向けてつないでゆくことこそが不動産業としての使命だと考えています。

その国の社会的課題の解決に正面から向き合う

不動産業は、その国や都市の経済、人口動態、企業業績、社会・環境など多くの要因が直接的、間接的に影響する産業です。だからこそ、不動産業とは、そこに住まい、働き、集う人々や、その国・都市が抱える社会的課題に、さらに正面から向き合うべきと考えています。
2015年に国連にて「持続的可能な開発目標(SDGs)」が採択されるなど、国際社会が要求する企業活動における責任はますます強くなると感じています。住まい、働き、集う人々のくらしや時を豊かにすることで、その国・都市が抱える社会的課題の解決につなげる。このことが、不動産業が担う責務であると私は考えるのです。

国内の成熟市場でのビジネス機会拡大と海外の成長市場、双方での事業成長が必要不可欠

当社グループの主要マーケットである日本の国内市場はまさに成熟した市場であり、少子高齢化の進展により市場規模そのものは長期的に縮小していくことが懸念されています。一方で、成熟市場だからこそ求められる水準は高く、解決すべき課題はより高度なものとなります。この成熟市場に対し正面から取り組むことで、ビジネス機会を拡大させ、当社グループのノウハウや強みを磨き続けることで、事業成長に結びつけることが重要です。

成熟市場である日本において、私が注目している一つ目のポイントはライフスタイルの変化です。日本の人口は、2010年より7年連続で減少する一方、65歳以上が総人口に占める割合は27.7%※1。と過去最高を記録し、超高齢社会に突入しています。今後も生産年齢人口の減少が予測されるなど、課題先進国として世から注目されています。将来的には、経済活動を維持するため、雇用体制の変化に加え、ロボットやAIなどの先端技術も普及していくと考えています。こうした変化は、ライフスタイルにも大きな影響を及ぼします。

まず、注視すべきなのは、共働き比率です。夫婦のいる世帯における共働き比率は2000年には32.8%※2。だったものが、2017年には40.6%と大きく拡大しています。また、女性労働力率からみても、M字カーブはかなり改善されたものの、世界各国の状況をみれば、まだまだ改善の余地は高いと言えます。労働人口が減少する日本では、女性活躍は国力に直結します。国・企業共に、女性が働きやすい環境整備が進み、夫婦共に正規雇用で働く姿が大半となる時代が到来すると考えています。
次に、シニア労働者の増加です。人口減少というメガトレンドのみ注目されますが、今後10~20年をみた場合、注目すべきは急増するシニア層です。健康寿命は医薬の発達に伴い延伸、年金受給年齢も引き上げられるなど、シニア層の労働意欲は高まる一方です。企業も労働力確保のため、定年延長・定年退職廃止が加速するとみています。
共働き世帯の増加は、限られた時間で仕事と家庭の両立が求められるため、通勤時間や利便性に対する重要性が高まります。また、シニア層の増加は、利便性に加え、徒歩圏内で買い物や通院、娯楽等が完結できる都市型コンパクトタウンのニーズが高まると想定されます。

ライフスタイルの変化は住まい方、働き方の新たなニーズにつながり、それは都市部のみならず地方中核都市でも同様の変化として表れています。当社グループが長年、力を入れて取り組み、豊富なストックを持つ再開発・建替え事業や、都市型コンパクトタウンは、これらの社会的課題に対する一つの解になると確信しています。

※1 総務省「人口推計(2017年10月1日現在)」
※2 経済産業省「中小企業白書(2018年版)」

旧耐震ビルの建替え推進は、社会的課題の解決につながる成長市場

ライフスタイルの変化だけでなく、オフィス、物流などに目を転じてみると、こちらも社会的な課題を抱えています。これが、二つ目のポイントとなる旧耐震ビル問題です。首都圏の都市インフラの多くは1964年の東京オリンピックを契機に整備されたものです。それから50年以上が経過した現在も、東京23区には155万坪もの中小の旧耐震ビルが存在しています。2011年の東日本大震災を契機に安全・安心面への意識が高まりましたが、再開発・建替えの進捗は緩やかです。一方、事業機会をみれば、中小ビルのオーナーの高齢化に伴う事業承継や相続の増加から、加速度的に古ビルの処分が進むことは十分想定できます。需要をみれば、日本の従業者数の70%※3。を占める中小企業の堅調な業績、そして旺盛な人材需要からも、当社のPMOのような安心・安全・快適さを提供できる物件への需要はまだまだ旺盛です。この課題解決は当社グループの大きな商機となります。

※3 経済産業省「中小企業白書(2018年版)」

成長市場である海外エリアでは、当社が果たすべき役割を見極めることが重要

世界に視点を広げれば、日本と同様に成熟した不動産市場がある米国や欧州だけでなく、東南アジアのように、今まさに成長を遂げようとするエリアもあります。当社グループの海外進出については、これまで、そのエリアに住まう・働く人々が求めるものと、当社が提供できるものを考えながら、慎重に取り組んできました。今、ようやく海外事業の成長を加速する段階に来たと考えています。
私が見据える海外事業のポイントは、「都市力」「パートナーシップ」「当社が果たすべき役割」の3つです。
まず「都市力」については、アジア圏を中心に、都市の一人当たりGDPに注目しています。経済成長のポテンシャルがそのまま事業機会につながるため、都市力は海外事業の大前提となります。
「パートナーシップ」については、地元優良企業とのWin-Winの関係構築を前提に、信頼に足るべき経営者か、当社に期待していることは何か、ともに成長を目指すマインドを持っているかを必ず確認します。地域性が強い不動産業では、豊富な開発パイプラインなどの定量面だけでなく、社風など数字では表せない要素も重要と考えているからです。
最後に「役割」については、当社グループが現地で提供する役割は不動産開発だけではなく、竣工後の運営管理のノウハウ提供も期待できます。特に、建物を長期的・定期的に修繕する文化のない国や地域においては、大きな優位性となります。同様に視点を変えると、不動産マーケットが成熟している欧州などでは、不動産開発に直接参入するよりも、M&Aを軸に資産運用ビジネスから参入したほうが、情報収集やノウハウの獲得の意味でも、その後の事業展開にプラスとなる可能性があります。このように、海外事業については、その国・都市の特性を精査し、リスクを把握した上で取り組んでいきます。

ESGは当社グループの成長に不可欠。その取り組みをさらに加速する

2015年のGPIFの国連責任投資原則(PRI)署名に代表されるように、ESG(環境・社会・ガバナンス)を重視した投資は大きな拡大を見せています。ステークホルダーが多岐に亘る、当社においては、ESGへの取り組みは持続的成長に必要不可欠と考えています。
2018年3月期においては、ガバナンスの面では、初めて取締役会の実効性評価において第三者の意見を取り入れ、さまざまな示唆を得ることができました。また、モニタリング型の監督体制を志向したことについても、多くの機関投資家から評価をいただいています。
環境・社会面では、従前よりCSRの4つの重点テーマとして掲げている「安心安全、環境、コミュニティ、健康快適」に対し、新たに「持続可能な開発目標(SDGs)」に即した具体的な方針や目標を設定しました。これは世界規模の持続可能性が経営・事業に大きな影響を及ぼすことを、より強く認識したものです。また、国際的なコミットメントに対して、当社の役割をより明確にすることは、事業活動に即した社会課題の解決を一層促進するものであり、将来的な経済価値にも寄与することだと考えています。
その一方、社会面として重視している「人材マネジメント」に関しては、これまで働き方改革やダイバーシティの推進に取り組んでまいりましたが、2017年12月に労働基準監督署より、グループ会社の野村不動産において企画業務型裁量労働制に関する是正勧告・指導を受けました。また、野村不動産の社員がお亡くなりになり労災認定を受けたという事実については大変重く受け止めています。社員が最大の資産である当社において、二度と起こしてはならないと強く誓うとともに、全ての役職員が心身ともに健康で活き活きと仕事に取り組むことが、企業の持続的成長につながる「ウェルネス経営」をめざします。

社会的課題解決への貢献を通じて持続的な成長を目指す

当社グループは、住まい、働き、集う人々を想い、徹底的に向き合い、組織の枠を超えて連携することで、不動産にかかわるさまざまなサービスの提供を通じ「私たちの約束」の実現をめざして邁進してまいりました。その結果が、現在の当社グループに対する社会からの評価につながっていると感じています。
当社は、課題先進国である日本にとどまらず、海外エリアでも、その国・都市に住まい、働き、集う人々の声に耳を傾け、事業を通じて社会的課題の解決に貢献し、持続的な成長を果たしていく所存です。ステークホルダーの皆さまには、引き続きご理解・ご支援のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

2018年9月
代表取締役社長
グループCEO

沓掛 英二

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